
こんにちは。Norikoです。
今回は、薬局でもよく見かける「リンデロン」シリーズについてまとめてみました!
同じ「リンデロン」という名前がついていても、内服薬・外用薬(軟膏・クリーム・ローション・ゾル)・点眼液・点耳点鼻液・坐剤までラインナップが幅広く、成分や強さ、使用できる部位もそれぞれ異なります。
調剤のときに「あれ、これとこれって何が違うんだっけ?」と迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。今回は薬剤師の学び直しとして、リンデロンシリーズを色々な視点から徹底比較してみようと思います。
リンデロンと名のつく医薬品、成分は全部同じ?



リンデロンと名のつく医薬品はたくさんありますが、実は「主成分の種類」も「強さ」も製品によって異なります。今回は主に外用薬(軟膏・クリーム・ローション・ゾル・点眼液・点耳点鼻液)に注目してポイントをまとめてみます。
内服薬・坐剤・注射剤についても分類の中で触れています。
リンデロンシリーズ一覧
- リンデロン錠・散・シロップ・坐剤(内服・直腸内投与/全身性作用)
- リンデロン-DP軟膏/ゾル(劇薬)
- リンデロン-V軟膏/ローション
- リンデロン-VG軟膏/ローション(抗菌薬配合)
- リンデロンA軟膏(眼・耳科用)
- リンデロン点眼液0.01%
- リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%
- リンデロンA液(点眼・点鼻用)
- リンデロンVs/リンデロンVsプレミアム軟膏(OTC・第2類医薬品)
このほかに注射剤もありますが、今回は主に外用薬に注目してポイントをまとめていきます。
大雑把に分類してみる
まずは大きな括りで整理してみます。
| 分類 | 該当製品 | 特徴 |
|---|---|---|
| 内服薬 | リンデロン錠・散・シロップ | 全身性の作用 |
| 唯一の劇薬 | リンデロン-DP軟膏 | シリーズ最強のステロイド外用薬 |
| 単一成分外用 | リンデロン-V軟膏・ローション、リンデロン坐剤、リンデロン点眼液0.01% | ステロイド成分のみ |
| +抗菌薬配合 | リンデロン-VG軟膏・ローション、リンデロンA軟膏、リンデロンA液 | ステロイド+抗菌薬の合剤 |
| OTC | リンデロンVs、リンデロンVsプレミアム | 第2類医薬品 |
大雑把に分けてみましたが、注目する特徴によって適応も変わってくるので、ここから先はさらに色々な視点で比較していきます。
ステロイドの強さで分類してみる



そもそも、同じ「リンデロン」でもステロイドの成分(エステルの種類)が異なり、いわゆる強さのランクも変わってきます。
| 強さ | 成分 | 該当製品 |
|---|---|---|
| very strong | ベタメタゾンジプロピオン酸エステル | リンデロン-DP軟膏(劇薬) |
| strong | ベタメタゾン吉草酸エステル | リンデロン-V軟膏、リンデロン-VG軟膏、リンデロンVs、リンデロンVsプレミアム |
| weak相当※ | ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム | リンデロンA軟膏、リンデロン点眼・点耳・点鼻液、リンデロンA液 |
※一般的なステロイドランクには記載がありませんが、weak相当と言われています。「ベタメタゾン」までは共通でも、エステルの種類が変わるだけで強さも大きく変わる点に注意が必要です。
アルファベットの意味



リンデロンの後についているアルファベット、なんとなく見過ごしがちですが、実はそれぞれにちゃんと意味があります。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| DP | ジプロピオン酸エステル(Dipropionate) |
| V | 吉草酸エステル(Valerate) |
| VG | Vに同じ吉草酸エステル+ゲンタマイシン硫酸塩(Gentamicin Sulfate) |
| A | フラジオマイシン硫酸塩配合。抗生物質(Antibiotic)に由来すると考えられる※ |
| Vs | Vに同じ吉草酸エステル。OTC(スイッチOTC/Switch) |
※Aだけは少し例外的です。公式には明記されておらず、発売当時はまだV・VG・DPが存在せず区別の必要がなかったため、便宜的に付けられた記号ではないかと考えられます(本来ならAよりFの方が語源に近いはずですが、あくまで一般的な解釈です)。
剤形で比較してみる



成分とアルファベット、剤形の関係を一覧にすると
こんな感じですね!
| ベタメタゾン〜の〜部分 | アルファベット | 剤形 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ― | ― | 錠/散/シロップ/坐剤 | 全身性作用 |
| ジプロピオン酸エステル | DP | 軟膏/クリーム/ゾル | 劇薬 |
| 吉草酸エステル | V/Vs | 軟膏/クリーム/ローション | OTCあり |
| 吉草酸エステル+ゲンタマイシン | VG | 軟膏/クリーム/ローション | 抗生物質配合 |
| リン酸エステルNa | ― | 液剤 | 眼・耳・鼻科用(濃度により異なる) |
| リン酸エステルNa+フラジオマイシン | A | 液剤/軟膏 | 眼・(耳)・鼻科用、抗生物質配合 |



この中でも、眼・耳鼻科用の製剤はほかとは違う注意点が多いので、次でもう少し詳しく見ていきます。その前に、DP軟膏だけに存在する「ゾル」という剤形についても後ほど触れておきますね。
DPだけにある「ゾル」って?
他のシリーズはローションが多いのに、DPだけ「ゾル」という剤形があります。V・VG・Vsはどれもローションで単位はmL、DPのみゾルで単位はgという違いがあります。
DPゾルには「カルボキシビニルポリマー」という増粘剤が配合されており、適度な粘り気を持たせることで、液体よりも患部にとどまりやすく、かつ軟膏やクリームのようにベタつかないという、両方のメリットを兼ね備えています。



DPはシリーズの中で最強のステロイドであり、ゾルは髪の毛があっても地肌まで届きやすく、かつ液剤のように顔の方へ垂れにくいため、確実に患部で効果を発揮させる設計になっています。頭皮の皮膚炎などに使いやすい剤形といえます。
眼・耳鼻科系を深掘り:使用できる部位に要注意



「目に使えるならどこにでも使えそう」と思いきや、実は使用できない部位もあるため注意が必要です。
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(単剤)
- リンデロン点眼液0.01%:濃度が低いのは眼圧上昇にリスクがある患者に使用できるよう、あえて作られた規格であり、適応も眼に限定される
- リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%:眼・耳・鼻に使用可能。ただし眼圧上昇のリスクがある場合は注意が必要で、その場合は0.01%製剤を使う
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム+フラジオマイシン配合
- リンデロンA軟膏:軟膏は耳もOKとなっているが、液剤と同じ理由で鼓膜に穿孔がある場合は禁忌
- リンデロンA液:フラジオマイシンにより非可逆性の難聴を引き起こす危険性があり、耳には使用できない。保管は冷所
同じ「眼・耳・鼻に使えそうな見た目」でも、配合成分によって使用できる部位が変わってくるので、調剤・服薬指導の際は特に注意したいポイントです。
OTCのリンデロン:VsとVsプレミアムの違い



最近は「プレミアム」という新しいOTC製品も登場しています。医療用との違い、そしてVsとVsプレミアムの違いを整理してみます。
・リンデロンVs:リンデロン-Vのスイッチ OTCで、添加物を含め中身は医療用と同じ。剤形も医療用同様、軟膏/クリーム/ローションがある
・リンデロンVsプレミアム:リンデロンVsに以下の3成分を追加配合



「プレミアムはVGと同じ成分なのかな?」と思いきや、抗菌薬(ゲンタマイシン)ではなく、OTCでよく見かける殺菌・皮膚修復・血行促進成分が配合された製品なんですね。
その他のステロイド点眼薬との比較



最後に、リンデロン以外のステロイド点眼薬についても、作用の強さで整理した表を紹介します。
| 強さ | 成分名 | 製品名 | 濃度(%) |
|---|---|---|---|
| 強 | ベタメタゾンリン酸エステルNa | リンデロン/サンベタゾン/リノロサール | 0.1 |
| 強 | デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルNa | サンテゾーン/D・E・X/ビジュアリン | 0.1 |
| 中? | デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルNa | D・E・X/ビジュアリン | 0.05 |
| 中 | デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルNa | サンテゾーン/D・E・X/ビジュアリン | 0.02 |
| 中 | ベタメタゾンリン酸エステルNa | リンデロン | 0.01 |
| 中 | フルオロメトロン | フルメトロン | 0.1 |
| 中 | フルオロメトロン | 「センジュ」 | 0.05 |
| 弱 | フルオロメトロン | フルメトロン | 0.02 |
※上記の強さ分類は一般的なステロイドランク表には記載されていません。フルオロメトロンは角膜への浸透性が低いことから弱めのステロイドに分類され、眼表面の炎症に対しては安全で使いやすいとされています。
出典:髙村悦子.ステロイド点眼薬の使い方:コツと落とし穴.アレルギー,58(6),613-619,2009.より引用し作成
まとめ



今回は「リンデロン」と名のつく医薬品を、成分・強さ・アルファベットの意味・剤形・使用部位・OTCという6つの切り口から比較してみました。
- 同じ「リンデロン」でも、成分のエステルの種類によって強さが大きく異なる
- アルファベット(DP・V・VG・A・Vs)には成分に基づく意味がある
- 眼・耳・鼻科用製剤は、配合成分によって使用できる部位が異なるため要注意(特にフラジオマイシン配合のA液は耳に使用不可)
- OTCのVsは医療用リンデロン-Vと中身が同じ、Vsプレミアムはさらに3成分が追加されている



「リンデロン」と名前が同じだからといって、成分も強さも同じとは限らない——今回まとめてみて、あらためて実感しました。
調剤や服薬指導の際に、今回の内容が少しでも参考になれば嬉しいです。
※本記事は医療用医薬品・一般用医薬品の情報を整理した学習用コンテンツです。実際の使用にあたっては、必ず各製品の添付文書・インタビューフォームをご確認いただき、個別の患者様への対応は医師・薬剤師にご相談ください。
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