薬剤師のNorikoです。
今回は痛み止めとしてよく使われる
バファリン、特に食事による影響についての学びです。
よろしかったらお付き合いください。
医療用バファリンについて
これらと同薬効の医薬品はもっとありますが、
今回はこの2つの食事による影響についてまとめてみたいと思います。
バファリン配合錠A330
こちらは主成分のアルピリンの量は
市販のバファリンAと同じ量(330mg/1錠)が入っていますが、
配合されている成分が異なります。
市販は『ダイアバッファー』
医療用は『ダイアルミネート』
あとでもう少し詳しく触れたいと思います。
1. 頭痛、歯痛、月経痛、感冒の解熱
2. 関節リウマチ、リウマチ熱、症候性神経痛
バファリン配合錠A81
こちらは配合されているのはダイアルミネートで同じですが
効能が全く異なります。
1. 狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発 作(TIA)、脳梗塞)における血栓・塞栓形成の抑制、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経 皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制に使用する場合2. 川崎病
こちらはいわゆる血液サラサラの効果を期待した使い方になります。
用量もだいぶ異なりますね。これが、多すぎても少なすぎても期待した効果が得られないということになるので、この量は重要ですね。
バファリン豆知識
市販薬の小児用バファリンも昔はアスピリンでした。ただ、1981年、インフルエンザにかかった小児にアスピリンを投与すると「ライ症候群」を発症する危険性が指摘されそれから、安全性の点から市販薬のみ主成分を
アスピリン⇨アセトアミノフェンに変更し、
商品名も「小児用バファリンCⅡ」となりました。
バファリンの吸収は食事によってかなり影響を受ける
では、今回の本題です。
バファリンは食事によってかなり影響を受けるという話ですが、
医療用バファリンの用法には
特に、「空腹時」や「食後」の記載がありません。
では食事による影響はないのかな〜と思いきや
かなりあることはあまり知られていません。
もし抗血小板効果を期待した場合は
その時の痛みに対する効果を期待しているわけではなく、
1日1回服用で持続的に血液サラサラ効果が続くので
あまり効果の発現までの時間は気にしなくてもいいかと思いますが、
これが痛み止めとして飲む場合、
「早く効いてほしい!」
って思いますよね?
では解熱鎮痛剤としてのバファリン配合錠A330について見てみましょう。
バファリン配合錠A330の食事の影響
バファリン配合錠A330の薬物動態はこうなります。
バファリン配合錠A330 インタビューフォームより
最高血中濃度に達する時間も、濃度も全く異なることが分かりますね。
これを見るとこのようなことが分かります。
☑︎お水は少なめよりも多めのお水で飲んだ方が吸収が早く、最高血中濃度も高くなる
☑︎食事の中ではタンパク質食との服用が一番効果発現が速い
☑︎食事の中では高脂肪食との服用でタンパク質の次に効果発現が速い
☑︎炭水化物との服用では一番効果の発現が遅れるが、効果の持続が期待できる
若干の違いではなくて
濃度も時間も倍以上の差が出ていることですね。
バファリン配合錠A330のまとめ
☑︎食事によって、吸収に大きな差が出るので注意が必要!
☑︎いつも食後に服用している方が空腹時に服用すると
効果は早く現れるかもしれないが、
胃障害やその他副作用が出やすくなるので注意
☑︎できるだけ長い時間効いていてほしい場合は空腹時に服用すると、効果が早く切れてしまうため食後
特に、炭水化物を食べた後の方が持続性が期待できる
バファリン配合錠A81について見てみましょう。
バファリン配合錠A81のインタビューフォームでは食事に関するデータがなかったため、
代わりに同薬効のバイアスピリンで見てみましょう。(※バイアスピリンは配合薬ではないのでダイアルミネートは配合されていません。)
アスピリン腸溶錠への食事の影響
腸溶錠でも同じように食事影響を受けていますね。
ただ、総吸収量は変わらないとのことなので、
毎日服用する低用量アスピリンは
発現時間はあまり気にしなくて良さそうですね。
毎日決まった時間に服用すれば問題なさそうです。
ちなみに、
医療用のバファリンに配合されている
ダイアルミネートについてですが、
単に、胃への負担軽減と思われている方が多いかと思いますが、
薬の吸収にも影響しているようです。
ダイアルミネートの知られていない役割
まずこちらをご覧ください。
バファリン配合錠A330 インタビューフォームより
これを見るとバファリン(アスピリン+ダイアルミネート)の方が
アスピリン単剤よりも吸収も、最大血中濃度も高いことが分かります。
というわけで、ダイアルミネートは
単に胃に負担をかけないだけではなくて、
吸収にも影響があることが分かります。
ダイアルミネートは胃液の pH を一時的に 4~6 に上昇させて、胃中でのアスピリンの 溶解を早め、胃障害の発生を軽減し、またアスピリンの胃からの吸収を促進する 1)~5)。このため解熱・ 鎮痛とともに、抗炎症、抗リウマチ剤としても投与しやすくなった。
バファリン配合錠A330 インタビューフォームより
ダイアルミネートの役割まとめ
☑︎ダイアルミネートは胃液のpHを上昇させる
☑︎アスピリンの溶解を早める
☑︎胃障害を防ぐ
☑︎アスピリンの吸収を促進させる
今回は医療用バファリンの食事による影響について学びました。少しでも参考になれば幸いです。
薬剤師としてお薬の投稿と共に
医療通訳士として、医療英語の発信もしています。
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