こんにちは薬剤師Norikoです。
今回は気になる2成分『カルベジロール』と
『ビソプロロール』について、主に慢性心不全にフォーカスを当てながら学んでみたいと思います。
細かすぎる内容はなかなか記憶に留まらないので
これだけは覚えておきたいという内容を中心にサクッと学べるようにまとめています。
[今回の記事でわかること]
・β遮断の中で処方が多いこの2剤の特徴
・なぜカルベジロールとビソプロロールは特別なのか?
・薬剤師として注目したいところ
・監査で注意したいポイント
カルベジロールの特徴
αとβ両方遮断するのが特徴 ・α遮断効果 末梢血管収縮抑制による降圧作用 ・β遮断効果 脈拍数低下作用 |
カルベジロールは非選択性β1遮断なので
喘息患者には禁忌となっています。
カルベジロールの用法用量
Instagram投稿より |
これを見ると慢性心不全のみ特徴的ですよね。
まず用量が他の適応より少なく また分2なのも心不全のみ。 と言うことは、1,25mgを使っていたり分2だったら慢性心不全の患者さんだと言うことがわかりますね。 |
ところで、なぜ慢性心不全だけ用量が少なく設定されており
かつ分2で食後の指定があるのでしょうか?
確かに他の適応はわざわざ食後とは決められていません。
これは何か理由があるんだろうなと言うことで調べました。
✔️『カルベジロール』心不全ではなぜ分2なの?
できるだけ目標投与量まで増量したいがカルベジロールのTmaxは0.8時間と早く副作用が出てしまうと増量が難しくなる。
1回で十分量投与するより2回に分けて少量ずつ投与する方が、急激な血中濃度の上昇が防げるためと言われている。
また心不全患者ではCmaxが約2倍、AUCも約4倍にも上昇してしまうため
1回量を少なくし、回数を増やしている
(代謝に関わる酵素の関係と推測されている)
DI online「アーチストにはどうして1日1回と1日2回の用法があるの?」
✔️『カルベジロール』心不全ではなぜ食後なの?
カルベジロールの用法は慢性心不全以外は服用タイミングの指定がない中
慢性心不全のみ食後となっている理由
⬇︎
食後の方がTmaxが遅いので急激な血中濃度の上昇を避けることができる
(CmaxとAUCは差がない)
他にもαβ遮断薬はいくつかあるけれど
慢性心不全に適応があるのはカルベジロールのみです。
注意することが必要じゃないかな?
と思ったことをまとめてみました。
ではβ遮断効果のある中で
同じく慢性心不全に対して適応のあり、カルベジロールと比べられることが多いビソプロロールについて学んでいきます。
ビソプロロールの特徴
・β遮断効果 脈拍数低下作用 徐脈効果はカルベジロールよりも高いが 抗心不全作用は同等かやや良好とされている。 |
ちなみに、カルベジロールはβ1非選択性のため
喘息患者さんには禁忌でしたが、
ビソプロロールはβ1選択性が高いため
喘息患者さんでも使用可能です。
カルベジロール同様 慢性心不全は基礎医療を受けている患者に使用し、低用量から徐々に増量する。徐脈性心房細動において、中止する場合は徐々に減量し中止する。 |
カルベジロールは心不全への使用は1日2回ですが、
ビソプロロールはどの適応症でも1日1回ですね。
でも0.625mg, 1.25mgは慢性心不全にしか適応がないので、
これらが使用されている場合は慢性心不全と予測できますね。
ところでビソプロロールといえば
テープ剤のビソノテープがありますが、これらの違いはなんでしょう?
ビソノテープと錠剤の違い
錠剤のビソプロロール(メインテーと)は『ビソプロロールフマル酸塩』
なのに対し、ビソノテープの成分は『ビソプロロール』ですね。
これはほぼ同じと考えていいのでしょうか?
塩を形成している状態よりも遊離化(フリー化)している状態の方が皮膚の透過性が良好であることから、ビソノテープはビソプロロールのフリー体を選択している
では用法用量はどうでしょうか?
ビソノテープの特徴
内用のビソプロロールフマル酸塩と
外用のビソプロロールではそもそも適応症が異なります。
規格は3つ
●2mg ●4mg ●8mg
ビソノテープの適応
✔️本態性高血圧症
1日1回8mg
年齢・症状により1日1回4mgから開始
✔️頻脈性心房細動
1日1回4mgから開始
効果不十分の場合には1日1回8mgに増量
1日最高量8mg、腎障害では低用量から開始
2mgの規格は何に使うの?
と思うかもしれませんが、
2mgは頻脈性心房細動の細やかな用量調節を可能とするために新たに追加された規格になります。なので、高血圧症には2mgは使用できません。
ビソノテープと内用の錠剤は換算できる?
具体的な同等性に関して
ビソノテープの添付文書に記載があります。
ほぼ同等と言えるのかな〜と想像できますが、
実際比べたデータがないのでそうとは言い切れないですね💦
ビソノテープは慢性心不全に適応がないので、
同等性がわかっても、今の段階ではそれぞれを簡単に切り替えると言うことはできませんね。
この同等性(正確にはテープ剤の錠剤に対する非劣性)は本態性高血圧症と
頻脈性心房細動においてのデータになります。
例えば嚥下困難のため、テープへの変更・・・とは
簡単にはいかないので注意が必要ですね。ビソプロロール内用は錠剤しかないため
慢性心不全などでは粉砕などの対応になるかなと思います。
(※ビソプロロールフマル酸塩は粉砕可です。)
注意したいこと
そもそもなぜβ遮断薬は心不全に対して慎重なの?
そもそも以前はβ遮断薬は心臓の働きを抑える(休ませる)効果があるため、
心機能が低下している心不全の患者さんには使えないお薬でした。
でも、少量から開始して、叙情に増量すれば、心不全によって活発になった交感神経を抑え、心臓にかかる負担を和らげることでき、
長期的に使用することで慢性心不全の信仰を抑え予後を改善すると言われています。
もし高血圧症などと同じような使い方をしてしまうと心不全の場合は憎悪に至ってしまうことがあるため、慎重投与ですし
重度の心不全には使用できません。軽度〜中度の心不全に少量から少しず使用量を増やし
程よい量で長期使用し続けることで予後が改善すると言うことですね。
だから、注意事項も多いです。
本剤の投与初期及び増量時は、心不全の悪化、 浮腫、体重増加、めまい、低血圧、徐脈、血糖値 の変動及び腎機能の悪化が起こりやすいので、 観察を十分に行い、忍容性を確認すること。
本剤の投与を急に中止した場合、心不全が一過 性に悪化するおそれがあるので、本剤を中止す る場合には、急に投与を中止せず、原則として 徐々に減量し中止すること。 2週間以上休薬した後、投与を再開する場合に は、「用法・用量」の項に従って、低用量から開始し、段階的に増量すること。 メインテート添付文書より |
同じような注意事項はカルベジロール(先発:アーチスト)の方にも同様にあります。
薬剤師として注意したい副作用
心不全の憎悪とはどんなものでしょうか?
心不全の憎悪として、患者さんに確認しやすい症状としてはこちら
これが45を切ると要注意
40を切れば危険ゾーンと言われています。
患者さんも定期的に確認しやすいですよね。
同系統のβ遮断薬で、特徴的なプロプラノロールについてはこちら⬇︎
これらの内容は
インスタでも簡単にまとめて学びの投稿をしています。
10枚以内のスライドにまとめることで
自分の学びへと繋げています。
学びのアウトプットをするのはおすすめですよ!
よろしかったらフォローしていただけると嬉しいです(^ ^)
⬇︎
学びの学習、ぼやきはこちら⬇︎