こんにちは薬剤師Norikoです。
以前ハンドクリームについてまとめましたが、
指先やかかとがパックリ割れて痛い!
あかぎれがひどい!そんな場合はどれを使ったらいいですか?
という質問を受けました。
というわけで、今回はちょっとこじらせたハンドケアやひび割れ等について取り上げていこうと思います!
冬の手荒れ、こんなお悩みはありませんか?
✔️あかぎれやヒビ割れがあり、何を塗ったらいいのかわからない
✔️乾燥して皮が剥け、指紋認証も通らない
✔️パックリ割れているのでとにかく痛い
✔️赤みがあってかゆくて仕方ない
✔️日中はほとんどケアができない
✔️手を洗う回数が多いので、ハンドクリームを塗っても落ちてしまう
✔️仕事の関係でハンドクリームを塗ることができない
今回の記事がお役に立てるかもしれません。
既にあかぎれやヒビがある方の対処法
これはもう治療が必要な状態ですね。
いわゆる主婦湿疹(進行性指掌角皮症)と呼ばれる皮膚疾患の状態の方が多いかと思います。
特に水仕事や、手を洗う頻度が多い方がなりやすい湿疹です。
とにかく刺激のないハンドクリームで保湿を心がけることで
それより悪化せずに済むことが多いです。
以前ハンドクリームについては
アンケートをとってまとめましたのでよろしかったらどうぞ!⬇︎⬇︎⬇︎
今回は、普通のハンドクリームだけではカバーしきれなかった
手湿疹についての特集です。
赤みやかゆみがあってツラい方におすすめの医薬品
赤みや痒みが出ている場合は
炎症が起きている可能性が高いです。
その場合は保湿だけでは赤みや痒みには効果が不十分のことが多いので、
しっかりお薬の入ったの医薬品が必要になります。
ズバリ“ステロイド含有の軟膏”が効果的ですが、
ステロイドと言うと副作用を心配される方が一定数いらっしゃいます。
ステロイド特有の副作用が出る条件は
内服、または強力な外用薬の長期使用の場合です。
市販で購入できるステロイドの中で一番強いレベルでも
医療用の中では中間の強さです。
また、短期的に使用することになるので、
多くの方が心配するようなステロイドの副作用のほとんどは見られません。
細菌またはウイルス感染による症状の場合です。
この場合は、ステロイドで悪化することがあるので、
必ず薬剤師や登録販売者に相談するか、皮膚科受診をお勧めします。
(具体的な例としては、とびひ、ニキビ、水虫、ヘルペスなどです)
強めのお薬を短期間に塗って
よくなったら保湿剤に切り替えるのがおすすめです。
と言うわけでステロイドの強さの強いものからご紹介します。
病院に行くと、おそらくもっと強い薬の処方があるかもしれませんが、
市販薬で購入できるものをあげていきます。
ステロイドは5段階の強さで分類されますが、
5群が一番弱く、1群が一番強いステロイドになります。
市販で一番強いのは、医療用では中間に当たる3群になります。
強いステロイドで短期で一気に治すというのが主流です。
基本的に、皮膚科でも手に使用する場合は
比較的強めのステロイドを使うことが多くレベルが1、2群の薬もよく使われます。
というのも手は薬の吸収が悪いからです。
例えば手のひらは頬の吸収の約15~16分の1になります。
というわけで、ステロイドを使うときに
弱い薬を使ってもなかなか効果を発揮しません。
それよりも、しっかり効果が出るレベルの薬を塗って
一気に治していくのが主流になっています。
3群のステロイド配合の市販薬
ではまず、3群(市販の中では一番強い)のステロイドが配合された市販薬についてです。
実は3群の医薬品は市販ではあまり種類がありません。
ほとんどが4群のものになります。
では3群の中でも代表的なお薬を3つをご紹介します。
また、価格は掲載当時のAmazonの価格を記載しておりますので参考までになさってください
●ベタメタゾン吉草酸エステル:1.2mg |
こちらは医療用でもお馴染みリンデロンの市販薬になります。
医療用ではリンデロンと言っても色々種類がありますが、
こちらはリンデロン-Vと同じ配合になります。
余計な成分は入っていない3群のステロイドのみ。
クリームと軟膏がありますが
できれば軟膏の方が保護作用があります。
とはいえ、日中も使いたいと言うことでしたら
クリームの方がサラッとしていて使いやすいと思います。
夜は軟膏を塗って、日中はクリームと使い分ける方もいます。
次に同じく3群のステロイドが配合されたものはこちら
●ベタメタゾン吉草酸エステル :1.2mg ●フラジオマイシン硫酸塩: 3.5mg |
こちらは医療用のベトネベートN軟膏と同じ配合になります。
ステロイドはリンデロンと同じ成分で
抗生物質のフラジオマイシンを配合しています。
●フルオシノロンアセトニド:0.25mg ●フラジオマイシン硫酸塩:3.5mg |
こちらは医療用のフルコートF軟膏と同じ配合になります。
3群のステロイドであるフルオシノロンアセトニドに
抗生物質のフラジオマイシンを配合したお薬です。
これら2つのお薬は
ステロイド自体の強さはリンデロンと同じなので
抗炎症効果同じ程度期待できますが、
違いはやはり抗生物質が入っていることですね。
ステロイドが化膿を悪化させてしまうという弱点があるため
化膿が心配な場合や、かき壊してしまっている場合などは
抗生物質が入っているとその心配をカバーできます。
とはいえ、薬の使用で悪化したり、
改善しない場合は必ず皮膚科を受診してください。
4群のステロイド配合の市販薬
4群のステロイドは市販にもとてもたくさんあります。
成分としては
“プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル”
がほとんどですが、
他にも非ステロイドの痒み止めや
組織修復効果のある成分
血行を改善する効果のある成分など
いろいろな成分が配合されているものが多いです。
成分の種類が多ければ多いほど効果がありそうですが、
実際には抗炎症作用はステロイドに比べて弱いので
ステロイドが配合されている場合は
それほど違いを感じることは少ないのではないかと思います。
とはいえ、補助的な効果が期待できるので
配合薬の効果の違いもあわせて見ていきたいと思います。
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル:1.5mg |
こちらは医療用のリドメックスコーワを想像される方がいるかと思いますが、
成分は同じですが、配合量が異なります。
医療用のリドメックスは1gあたり3mg配合されています。
ステロイドのみで、
余計な成分を配合していないタイプになります。
以降は補助的な効果を期待した配合成分の多い医薬品になります。
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル:1.5mg ●ジフェンヒドラミン :5mg(かゆみをおさえる) ●クロタミトン:5mg(かゆみをおさえる) ●トコフェロール酢酸エステル:5mg( 血流を改善する) ●イソプロピルメチルフェノール :1mg(患部を殺菌する) |
ちょっと割高な感じがしますね・・・
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル:1.5mg ●グリチルレチン酸:5mg(皮膚の炎症をしずめる) ●クロタミトン: 50mg (かゆみをおさえる) ●アラントイン: 2mg (組織修復を助ける) ●トコフェロール酢酸エステル: 5mg( 血流を改善する) ●イソプロピルメチルフェノール:1mg(患部を殺菌する) |
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル :1.5mg ●イソプロピルメチルフェノール :1mg(殺菌作用がある) ●リドカイン: 10mg (かゆみをおさえる) ●クロタミトン: 50mg (かゆみをおさえる) ●アラントイン: 2mg(組織修復を助ける) |
以前から手湿疹にフォーカスしたシリーズです。
特に痒み止めを強化しているので、
痒みが強い湿疹などに効果的です。
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル1.5mg ●グリチルレチン酸:5mg(炎症を鎮める) ●ジフェンヒドラミン塩酸塩:20mg(かゆみをおさえる) ●クロタミトン:50mg(かゆみをおさえる) ●リドカイン:20mg(かゆみをおさえる) ●アラントイン:2mg(組織修復を助ける) ●イソプロピルメチルフェノール:1mg(患部を殺菌する) ●トコフェロール酢酸エステル:10mg( 血流を改善する) |
メソッドはライオンから販売しているシリーズで
さまざまな皮膚疾患に着目し、色々な医薬品が販売されています。
8種類の成分が配合されており
市販の中でも特に配合成分の多い塗り薬になります。
なかなかのお値段ですが、Amazonで見つけてしまいました!
お手頃Amazon限定ブランド
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル:1.5mg ●グリチルレチン酸:5mg(皮膚の炎症をしずめる) ●ジフェンヒドラミン塩酸塩:20mg(かゆみをおさえる) ●クロタミトン:50mg(かゆみをおさえる) ●リドカイン:20mg(かゆみをおさえる) ●トコフェロール酢酸エステル:10mg( 血流を改善する) ●アラントイン:2mg(組織修復を助ける) ●イソプロピルメチルフェノール:1mg(患部を殺菌する) |
成分を見てみると
メソッドと同じ配合なんですよね。
なのに20gも入ってこのお値段🙄
もちろん添加物や使い心地は異なるかもしれませんが、
成分だけで選ぶなら賢い選択肢がありますね。
ターゲットを絞った商品が多いのですが、
実はよく見ると、同じ効能、同じ成分というものが多いです。広告費がかかっていない分お安くなっているものもあるので、
お手頃なものを探している場合は、
パッケージではなくて、成分をしっかり見ることをお勧めします。
ステロイド薬以外で検討したい方にお勧め
その後保湿でケアするのが一番ですが、
例えば、日中赤ちゃんのお世話をしているなど、薬を塗った手で色々触ることがある場合や
それほど炎症はひどくないなどの場合は
非ステロイドも選択肢になるかなと思います。
皮膚組織の修復、保湿効果のある成分が配合されているものが多いです。
●アラントイン:2mg(組織修復を助ける) ●パンテノール:10mg(組織修復を助ける) ●トコフェロール酢酸エステル :2mg( 血流を改善する) ●グリセリン:400mg (皮膚を保湿する) ●ジフェンヒドラミン:5mg(かゆみをおさえる) |
グリセリンで保湿しながら痒みも抑えるような成分になっています。
それほど炎症は強くないけれど、乾燥や痒みなどがある場合に効果が期待できます。
●アラントイン:20mg(組織修復を助ける) ●パンテノール:50mg(組織修復を助ける) ●トコフェロール酢酸エステル:20mg( 血流を改善する) ●グリチルレチン酸:3mg(皮膚の炎症をしずめる) ●グリセリン:400mg (皮膚を保湿する) |
ケラチナミンというと尿素のイメージが強いですが、
こちらには尿素は配合されていません。
(ひび割れなどがあると、尿素はしみてしまいます。)
代わりに保湿効果の高いグリセリンが配合されています。
痒み止めは配合されていないため、痒みや赤みは少ない乾燥肌に効果が期待できます。
●ビタミンA油:5mg(新陳代謝を促進) ●トコフェロール酢酸エステル:20mg( 血流を改善する) ●アラントイン:2mg(組織修復を助ける) ●グリチルレチン酸:3mg(皮膚の炎症をしずめる) ●イソプロピルメチルフェノール:1mg(患部を殺菌する) ●ジフェンヒドラミン:5mg(かゆみをおさえる) |
特徴的なのはビタミンAの配合ですね
トコフェロールも配合されているため
新陳代謝や血行を促進して治りを早める効果が期待できます。
また痒み止めも配合されています。
薬以外にできるケアは?
そもそも、なぜ手荒れ(主婦湿疹)と呼ばれるような症状になるかというと、
日中手に刺激が多く、
さらに保湿がうまくできていないから湿疹になってしまうんですね。
そんな状態で
手湿疹が悪化する方は、それができないから困ると言う方ばかりです。
とにかく夜に集中的にケアをするしかありません!
とはいえ、夜に頑張って保湿しても
保湿剤や、抗炎症薬は寝ている間に取れてしまいます。
取れてしまっても、一度起きてまた保湿なんて無理ですよね。
ベトベト状態では寝具にも保湿剤が付いてしまいます。
と言うわけで、手湿疹で悩んでいる方は
“寝ている間に手袋をすることをお勧め”します。
このときの手袋は手に優しい綿やシルクのものがいいと思います。
ビニールやゴムは、一見乾燥を防ぎそうですが、
必要以上に蒸れてしまうためあまりおすすめではありません。
夜寝ている間に手袋をすると治りが早い
薬を塗って保湿をしたら、できればすぐに手袋をしてしまうこと。
これで、かなり悪化を防ぐことができます。
手袋をする理由はいくつかあります。
✔️塗った軟膏が落ちないように、またベッドなどにつかないようにカバーする
✔️より保湿効果を高める
✔️物理的化学的な刺激を徹底的に避ける
寝るまでにいろいろなものを触っているうちにどんどん取れてしまうし、
軟膏を塗った手では、さわれないものもあって困りますよね。
というわけで、保湿後(できればお風呂上がり)すぐに手袋をするようにしてみてください。
お風呂上がりすぐに保湿!と言われても、
手袋をしてしまうとスマホがさわれない!
そんな風にお困りになるかもしれませんが
こんな手袋もありますよ!
この手袋の良いところは
✔️保湿効果の期待できるシルク製
✔️手首にゴムがついているので寝ている間に取れにくい
✔️つけたままスマホの操作ができる!
ぜひ手袋を試してみてください👍
日中の傷の保護はこうやると効果的!
治療薬は分かった。
寝ている間のメンテナンスもOK!
でもこんな疑問がありませんか?
✔️いくら寝ている間にケアをしても一向に良くならない。
✔️なんだかんだで日中何度も手を洗うし
保湿剤や薬を塗ってもすぐに取れてしまう。✔️普通の絆創膏は濡れてしまって剥がれてしまうし
水を吸ってふやけてしまう。
せっかく寝ている間はケアができても
また日中の刺激で悪化してしまう方が多いです。
理想的には、物理的に日中も刺激から遠ざける
水に濡らさない、手を洗う必要がない状態にするのが一番です。
そうは言っても何も触らない、手を洗わないなんて不可能ですよね。
一番手軽な防御策は、
水を使うときは可能であればゴム手袋などをはめて仕事をする!
でも、食器洗いなどならゴム手袋や、ビニール手袋をしても可能ですが、
手袋をしながら仕事ができないという場面もあるかと思います。
看護師さんの悩みに多いようですが、
繊細な作業が多いので、手袋をはめているとやりづらいし
手を洗う回数は多いしで、手は荒れる一方・・・
そういう方は
こんなことに注意すると、1日を通してケアができます。
普通の絆創膏は手を洗うたびに濡れてふやけてしまうし、
何度も張り替える必要がありますが、
こういったあかぎれ用の絆創膏もあるので検討してみてはいかがでしょうか?
こちらは色々な種類があるので、
自分に合ったタイプが選べて助かりますね。
一番人気はこちらの関節用です。
50枚も入っていて、指先の保護には使いやすいサイズです。
コチラは皮膚に近いフィルムを使っているので
とにかく剥がれにくく、貼っている間の違和感が少ないので
貼っているのを忘れてしまうほどです。
水を通さずさらにパット付きなので、
日中も薬を塗った状態で濡らさずにキープすることができ、早く改善することが期待できます。
コチラはパットがないタイプです。
幅は色々なものがあります。
今回は手湿疹ということで、幅の狭いものを取り上げました。
よく怪我をするお子さんがいる場合は
もっと幅広のものを用意しておくと何かと便利です。
あかぎれや、ぱっくり割れてしまっている時も
これを貼っておくとそれ以上悪化しないようにしっかり押さえて保護してくれます。
傷が濡れて染みることもありません。
また手を洗っても剥がれにくいので、手を洗うたびに貼り替える必要もなく、
保湿剤を常に塗り直す必要もありません。
手を洗う回数が多い方、
手袋では作業しにくい方には、このようなフィルム系がおすすめです
水絆創膏ってどうなの?
ところで、水絆創膏ってご存知ですか?
ぱっくり割れなどは水が染みるので、
昔からこの水絆創膏というものが使われてきました。
例えばこちら
水絆創膏は簡単に言うと皮膚の接着剤のようなもので、
昔からある特殊な絆創膏になりますが
なぜかというと、
昔は水に強く、質の良い絆創膏があまりなく
仕方なく水絆創膏で無理やりくっつけるというこちらがよく使われていました。
今でも愛用されている方がいますが・・・
めっちゃしみます!!
ただでさえあかぎれが痛いのに、さらに傷に塩を塗るような痛さに耐えなければいけません。
ただ、しみるのははじめだけで
接着部分が乾けばその後は痛くないことが多いです。
そのため、塗る時の痛みが我慢できる方はいいと思うのですが、
今は水に強く、剥がれにくく、さらに肌に優しい絆創膏やフィルムがありますので、何もこれを使わなくてもいいんじゃないかな?と個人的には思います。
というわけで、
水絆創膏を使うなら、先ほど紹介したような
防水性があり、皮膚に近い薄いフィルムを利用することをお勧めします。
手湿疹、あかぎれ、ヒビ割れケアのまとめ
✔️お風呂上がりにすぐに保湿する
タオルでふいた瞬間からどんどん乾燥していくので
すぐに油溶性成分の多いハンドクリームで保湿しましょう。
✔️炎症や痒みがある場合は医薬品の治療薬を塗ってから刺激の少ないハンドクリームなどで保湿する
人気のハンドクリームについてはこちら
✔️薬をつけたり、保湿をしたらすぐに手袋をし、そのまま朝まで手袋をはめたままで過ごす。
これをやっているとやっていないとでは大違いですよ。
✔️日中もできるだけ刺激を避けて、常に保湿する
✔️もし刺激を避けたり、こまめな保湿が難しい方は
保護絆創膏や、保護フィルムでとことん乾燥を避け皮膚を物理的に保護する
ちょっと面倒に思えるかもしれませんが、
徹底してケアをすると健康な肌を保てます。
手湿疹は一度こじらせると、改善するまでしばらくかかります。
でもある程度状態が良くなると
そこまで徹底しなくても悪化せずに済むようになるので、
とにかく悪化しないようにケアし、
もし悪化したら短期集中的にケアをして乗り切りましょう!
もし症状が強かったり、市販薬を試してもよくならない
または悪化するようでしたら、使用を中止して、必ず皮膚科を受診してください。
YouTubeでは医療英語の他、薬のゴロ合わせなど
気軽に学べる動画をアップしています。
学びの学習、ぼやきはこちら⬇︎