
今回はちょっと製薬会社に嫌われるかもな内容です。まあこんな小さなブログ
大手の製薬会社には気づかれませんので
遠慮なく今回も本音でまとめていきます!
たまに一般の方向けの投稿として
「薬剤師が勧める風邪薬○選!」
などの投稿を見かけますが、
あれって実際どうなのかな〜。
内容的に一理あるけど、一般の方にちゃんと伝わってるかなぁ。
と思うことがあるため
今回は
「薬剤師が真剣に考える市販の風邪薬」について
お伝えしていこうと思います!(と言いつつ半分個人の見解です)
まず
風邪は、風邪薬では治りません!
風邪薬は各症状を緩和するために飲むものです!
早めの○○が効果的!
速攻!○○アタック!
今すぐ治したいあなたに!
という誤解を産んでいます。
逆に、発熱でウイルスと闘っているところを
無理やり熱を下げることで、返って風邪が長引くこともあります。
あっ!この風邪薬!
医療用と同量配合!
病院で出される量と同じなので他の風邪薬よりも強力ですよ!
そもそも、風邪薬として出る成分のほとんどはすでに市販で使われています。
症状に合わせて成分ごとに微調整ができる処方薬と異なり
入れてもいい満量入れている市販薬が多いので、
病院で調整して処方されるよりも多く配合されることもあります。
ゴールド・プラス・DX・EX・W・Prp・プレミアム
アルファベットが付くくらいだったんですよ。
最近の流行りはプレミアムのようですね。

やっと特徴覚えても、次のシーズンには新しいものが出る。
内容見てもそんなに違いはないんだけど何かが変わったらしい・・・
毎回箱の裏の成分を比べて接客する。そんな感じでした。
箱がピッカピカ♢♢♢
風邪薬といえば赤系の色が多かったのですが
(体を温めるような暖色が多かったですね。)
というわけで、早く効きそう!早く治りそう!
確かに成分的にはスイッチOTC
(医療用でしか使えなかった成分が市販に降りてきたもの)
またいわゆる強目の成分のオンパレードのこともあるので強力とも言えるかもしれません。
ってことは値段にも反映してそうですね・・・(⌒-⌒; )

薬局はそもそも薬を売らないと成り立たないわけですから
こんなところでディスられる筋合いはないですね。競争も激しいでしょうから
常に商品開発に奮闘してるのでしょう。
と、いろいろな角度で薬を見ると奥が深いですね。勝手なこと言っててすみません
薬剤師はどうやって自分の薬を選ぶのか?
もちろん人によってこだわるところは様々でしょうが、
私自身、そして周りの薬剤師に共通して言えることは
こちらです
☑︎どうしても抑えたい症状に対する成分のみが入っているもの
(基本的には単剤を取り揃える)
☑︎いきなり総合感冒薬(風邪薬は飲まない)
そもそも、風邪っぽいかな〜?
程度だと薬は飲まない方が多いですね。
また微熱程度の場合、

のように、あえて解熱剤を飲まずに
自己免疫力に期待する人も多いです。
薬剤師だからって薬をよく飲んでいるわけがなく
どちらかというと、一般の人よりも薬を服用することは少ないのではないかと思います。
また、風邪のひきはじめは
自分の体質に合った漢方薬などを早めに服用する人もいます。
薬剤師は市販の風邪薬飲まないの?
薬剤師は総合カゼ薬を飲まないわけではありません。
誤解を招きそうですが、薬剤師だって普通に総合風邪薬を飲みます。
ただ、例えば医療現場で働いていれば
薬剤師は単剤の薬が必要分だけ購入できたり、
以前の余りから、自分で見繕って服用したり、
とにかく自分で調整して服用できる手段があるので総合を購入する必要がない場合が多いのです。
でもたとえ薬剤師でも、もし手持ちがなくて市販薬しか購入できない場合
何度も薬を買いに行けない場合、
明らかにこれは風邪だな。
今後症状が色々出てきそうだな。
と予感がする場合は、総合の風邪薬を購入すると思います。
理想は対症療法で
症状が出てから服用したいと思っても、
市販薬で症状別にいくつも購入するのは経済的ではないし
まあ副作用と言っても予想ができるし、自分には問題なさそうだから
と割り切って服用することが多いと思います。
☑︎眠くなる成分が入っていても寝てしまうから問題ない
☑︎持病がないので併用についても問題ない
☑︎多少血圧に影響があるかもしれないが自分で経過観察するので問題ない
などなど、起こりうるデメリットを理解した上で総合薬を服用します。
それは基礎知識があるからであって
自分で自分の責任を取るからであって
一般の人もそうしてね。というのは無理ですね。
だから販売時にお客さんの状態を色々聞いて、
併用薬や、副作用など影響が少なそうなものを選ぶようにし、
注意事項を伝えます。
本当なら、医師の処方のように単剤を勧めた方が薬剤師としては安心です。
ただ、実際には単剤の低価格な商品がない!という根本的な理由で
結局総合の風邪薬を勧めることになってしまいます。
その方がお客さんの満足度も高いというのも現実です。
一般の方の風邪薬への期待度が高い!
ドラッグストアーに長年勤務していましたが、
薬剤師が思ってるよりも、お客さんの風邪薬への期待度がとても高いです。
風邪薬を買いに来られる患者さんがよくいうセリフがこちらです。
一番効く風邪薬ください!
そもそも、どんな症状があるのか聞いてみないと答えられません。
仕事休めないんで一番強いのをください!
納得してもらうには、プレミアム系を勧めることになってしまいます。
無名の地味な薬を勧めると信用されなくなることすら・・・
(以前あるメーカーのキャッチコピーが叩かれてましたね。)
どんな風邪にも効く風邪薬ください
そうなると自動的に総合風邪薬ですね。
また、薬を飲むほどではないけれど
なんとなく不安だから一応買っておこうか、という方も多いです。
今は大したことないけど、とりあえず風邪っぽいんで無難な風邪薬ください
これといった症状がない場合、やっぱり総合風邪薬になってしまいます。
常備薬として買いに来られる方にも同じような対応になります。
薬剤師がお客さんに風邪薬を相談された時
気をつけること
と言うわけで、理想はありますが、
できる範囲でお客さんの期待に応える場合
選ぶときに成分の足し算引き算で選びます。
①譲れない成分は?
②使えない成分は?
③耐えられない副作用は?
例えば、
☑︎熱があり、喉も腫れててまずはそれをなんとかしたい!
⇨鎮痛消炎効果のあるNSAIDsやトラネキサム酸を考慮
☑︎緑内障だが、緑内障のタイプはわからない
⇨抗コリン作用のない成分で考慮
☑︎ひどい便秘持ち
⇨咳止め配合には慎重に
☑︎眠くなると困る!
⇨抗ヒスタミン成分には慎重に
などなど、
お客さんの話を聞いて、数ある総合風邪薬から
一番適しているであろうものを選んでいます。(そのはずです!)

購入の際は適当に選ばずに
しっかり相談した方がお得だと思います
無駄な成分の入っていない薬を購入したい!
風邪の症状に対する薬というのは
大きく分けると3つに分類できます。
①熱と痛み
②咳と痰
③鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)
これら3つ全てが入ったものが総合風邪薬となるわけですが、
全ての症状が出る方って実はそんなにいません。
せいぜいこのうちのいくつかではないでしょうか?
その場合、
①+②, ②+③, ①+③
などで組み合わせる感じにするといいと思います。
ただ、ここで問題になるのが
実際は3つの分野に分かれていたとしても
多くが配合薬なので、成分がダブってしまうことがあるということです
ダブりやすい成分
☑︎無水カフェイン
☑︎抗ヒスタミン成分
特に無水カフェインは①②③どの薬にも配合されていることがあります。
ここに栄養ドリンクなんか追加すると通常の4倍のカフェインを取ることになってしまいます。
抗ヒスタミンは②と③でダブりやすいです。
また成分名が異なることもあるので注意が必要です。
この場合それぞれを単剤で選べば問題ないのですが、
先ほどもお伝えした通り、
今は市販で揃えるのはなかなか難しいですし、
割高になって、お客さんの満足度も下がってしまうことがあります。
とにかくシンプルな成分で組み合わせたい場合
単剤の一例になりますが
いくつか挙げていきますね。
解熱鎮痛剤
アセトアミノフェン単剤
イブプロフェン単剤
ロキソプロフェン単剤
アスピリン単剤

解熱鎮痛剤も配合薬がとても多いです。
まあ、胃を守る成分程度なら併用しても問題ないことがほとんどですが
問題は鎮静成分や、カフェインですね。
これらが入っているせいで他との併用が難しかったり
眠気が出たりとまあ色々あるわけです。
また、小児の場合、基本的にはアセトアミノフェン一択になりますね。
ただ、アセトアミノフェンは解熱鎮痛効果はあっても消炎効果がない
つまり痛みや熱には効果があるけど、たとえば喉が腫れているなどの場合
その炎症を和らげる効果が期待できません。
医療用ならイブプロフェンがよく使われますし、
海外でもイブプロフェンは結構小さいお子さんから市販で買えますが、
日本はまだ15歳以上のためなかなか難しいですね。
鼻炎薬

風邪で鼻水が出る場合、
正直それを無理やり止めてしまうのはいかがなものかなと思います。
というのも、花粉症などのアレルギー症状とは異なり
感染症による鼻水は、ちょっとねばねばしていて
無理に抑え込むより出してしまった方がいいからです。
とはいえ、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりで息が苦しい、
ゆっくり休めないなんてこともあると思います。
そういう時は薬を検討してみるといいかなと思います。
鼻炎薬は第2世代のものを選ぶのが無難だと思います。
ただ問題は市販の第2世代の鼻炎薬は「風邪症状」ではなくて
「アレルギー専用」となっていることですね。
まあ医療用では対症療法なんでどっちも変わらないんですけど
もし、「風邪薬が欲しい」と言っているときに
花粉やハウスダストに対するアレルギー薬を勧めたら、え?ってなりますよね。
でももし
「咳も熱もないけど
鼻炎の症状が出てるから鼻風邪だ!」
と思うなら、いやいや、それいわゆる風邪じゃなくて
やっぱりアレルギーかもしれませんよ?
アレルギーなのに、解熱剤や、強い咳止め入ってるの飲みたいですか?
というわけで、この場合、アレルギーを疑って、
まず抗アレルギー剤だけで様子を見るのもいいと思います。
嬉しいことに、第2世代はどれも単剤が多いです。
また、第2世代の方が眠くなりにくかったり
併用するときも使いやすいのです。

実際には同じです。
ただ、総合の風邪薬には第2世代が配合されておらず、
ほとんどが昔ながらの第1世代の抗ヒスタミンのため
併用薬、副作用が問題になりがちです。風邪薬を選ぶときに、この抗ヒスタミンが曲者であるため
持病のある方には総合は勧めづらいというのが現状です。
毎年花粉の時期などに決まった薬を買う方は
それを買えばいいと思います。
余ったら花粉の時期に使えるますしね。
【第2類医薬品】アレグラFX
やはり、眠気が出にくいということで人気ですね。
【第2類医薬品】クラリチンEX
こちらもアレグラ同様、眠気が出にくい成分になります。
コンタック以外は医療用と同じ商品名なのでわかりやすいかと思いますが、
こちらの成分はセチリジンです。
医療用で言うと”ジルテック”になります。
コンタックはとても種類が多いので選ぶ時は注意です。

より眠くなりにくいのは上の2つ
アレグラとクラリチンになります。
鼻炎薬に関しては
飲み薬だけではなく点鼻薬を使うというのもありですね。

ただ、市販薬の点鼻には残念なことに
ほとんどに血管収縮剤が配合されています。
そのため長期戦になる花粉症などのアレルギーには血管収縮剤入りの使用をお勧めしませんが
風邪のように短期間に使用する、
または息をしやすくしてゆっくり休めるように使用するのはアリだと思います
血管収縮薬とは?
☑︎ナファゾリン
☑︎テトラヒドロゾリン
血管収縮薬を勧めない理由
血管収縮剤は目に使えば目の充血を、 だんだん効果も薄れてきて、使う回数も多くなり そのため、これらの成分はどうしても今だけなんとかしたい! ただ、購入時にその説明を受けていなかったり、 やっぱり使い続けるならばなおさら相談した方がいいと思います。 |
血管収縮剤入りの点鼻薬(鼻詰まりがひどい時用)
ナザールも昔からあり種類がとても多いです。
こちらはシンプルなタイプ。
鼻詰まりがひどい時だけ使う分にはこれで十分かと
よくなったら中止してくださいね。
咳止め
咳止めは残念ながらほとんどが抗ヒスタミン薬との配合薬です。
ただ、いくつか咳と痰に特化したものもあるので
鼻炎を伴わない場合、持病が色々ある方などはこちらの方が無難かと思います。

”医療用と同量配合”と特別感がありますが
昔から同量配合されたものはありました。
ただ、“メジコン”と言う医療用のブランド名による話題性がありました
まあ戦略はさておき(意地悪・・・)
咳止めの中では珍しく単剤です。
とりあえず咳だけ止めたいと言う方には使いやすいかなと思います。
これは去痰剤だけという珍しい商品です。
医療用でもお馴染みの2大去痰剤配合
☑︎L-カルボシステイン
☑︎ブロムヘキシン塩酸塩

痰が切れなくて咳で頑張って出そうとしている
そんな方には咳止めというよりは去痰剤の方が効果が期待できるし
副作用などの心配も少ないですね。
こちらはいくつか成分が配合されていますが、
解熱鎮痛剤や、鼻炎薬は配合されておらず
咳と痰に特化した内容となっています。
ただ1類のため必ず薬剤師から購入する必要があります。
検討したい時は売り場の薬剤師にご相談ください。
お子さん向けにこんなものもありますよ。
なんと漢方なのにブドウ味のゼリーです。
もちろん、大人も漢方を検討するのもいいですね。
咳止めの中には抗ヒスタミンが配合されているものがほとんどですが、
咳や痰と共に鼻炎症状が出る方は多いですし、
鼻汁が咳の原因になることもあります。
咳を鎮めてゆっくり眠りたいなどの場合
抗ヒスタミンの眠気という副作用は問題ないでしょうから
このように単剤にこだわる必要はないかと思います。

ただ、総合薬になると解熱鎮痛剤が入っているので
やはり熱がなければ総合ではないもので対応し
熱が出たら、初めて解熱鎮痛剤の単剤を組み合わせるのが無難だと思います。
それぞれで注意が必要な人も異なりますので、
検討されるときは必ず薬剤師や登録販売者にご相談ください。
薬剤師が思う理想の市販薬の販売環境とは?
最後に、薬剤師的に理想の市販薬販売についてちょっと・・・
薬剤師、もちろん登録販売者もですが、
環境が揃えば、
一番お客さんにとってメリットのある薬の販売ができるようになります。
それは、医療用のように市販で販売できる成分が
少量ずつ選んで販売できるような環境です。
もっと簡易包装でいいから、
9錠/シートずつくらい安価で販売できたら
医師が処方するのと同じように
お客さんにとって必要な成分だけを組み合わせて販売することができます。
いわゆる零売(れいばい)に近い感じですね
そしたら、薬剤師の力も存分に発揮できるし
お客さんも余計な副作用で悩まされることもないでしょう。
とはいえ、そういった商品が今はないので現実的ではありません。
零売とまではいかなくても、
せめて風邪薬の成分だけでも、もう少し安価で少量包装の単剤が増えるといいなと思っています
なぜなら、風邪薬は特殊だと感じるからです。
まあ、配合成分の多い胃薬もなんだかな〜と思いますが、
胃薬はまだまだスイッチOTCが少ないですし、
それほど強烈に効果があるものは少ない印象です。
一方で、風邪薬の成分は一つ一つがなかなか有効で
それゆえ副作用も現れやすいと感じます。

というわけで
せめて風邪薬だけでも、もうちょっと薬剤師や登録販売者の力が発揮できるように
単剤主流になっていけばいいな〜と密かに思っています。
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