という定番のヒヤリハット問題!カリウム製剤の換算についてです。
カリウム製剤の換算は他の薬のように単純ではないためよく問題になるのでまとめました。
カリウム製剤の特徴
効能効果
下記疾患又は状態におけるカリウム補給 ・降圧利尿剤、副腎皮質ホルモン、強心配糖体、インスリン、ある種の抗生物質などの連用時
・低カリウム血症型周期性四肢麻痺
・心疾患時の低カリウム状態
・重症嘔吐、下痢、カリウム摂取不足及び手術後
カリウム値が低くなるとどうなる?
悪心・嘔吐、筋力低下、けいれん、便秘、麻痺、不整脈などを引き起こすことがある
カリウム値が高くなるとどうなる?
悪心・嘔吐、痺れ、脱力感、知覚過敏、不整脈などを引き起こすことがある。
低くても高くても問題!
特に一番怖いのが不整脈ですね。
心停止にも至ることがあるため、しっかり管理することが必要です💦
カリウム製剤の禁忌薬
これは押さえておきたい
エプレレノン(セララ)
これはエプレレノンが高血圧で使用される時の禁忌です。
カリウム貯留作用が増強し血清カリウム値が上昇する恐れがあるため。
カリウム製剤の種類
今回は外来で見かける内用薬のみ取り上げます。(2023/1現在)
☑︎塩化カリウム(原末・徐放錠)
錠剤は現在1種類
塩化カリウム徐放錠600mg「ST」
(これはスローケーという名前でした)
散剤は「フソー」と「日医工」
☑︎L-アスパラギン酸カリウム
先発:アスパラK(散,錠)
後発品は錠剤で300mg「アメル」のみ
☑︎グルコン酸カリウム
先発:グルコン酸K(細粒.錠)
後発品なし
カリウム製剤を換算するときに重要なこと
と聞かれたら、
どのように考えますか?
一般的な薬だと例えばmgで考えて
同じ用量になるように換算してパパッと変えることがあるかと思いますが、
カリウム製剤はそう簡単にはいかないそうです。
別の製剤に変更するときは
mgは換算の参考になりません。
基本的にmEqを参考にしますが、
ここで注意が必要です。
同じ効果が期待できるとは限りません!比較するときは常用量対比で換算が必要です!
常用量対比とは?
常用量対比ってあまり聞かないですよね。
それぞれの製剤の1日用量の上限同士を
治療学的に等量と考え、比例計算するという考え方
というわけで、
各薬の用法用量を確認し、幅がある場合は
お互いの上限の量を基準に考えて計算するというわけですね。
ではそれぞれのカリウム製剤の一日量の上限をmEqで確認してみましょう。
(赤字が上限とみなします。)
☑︎塩化カリウム
徐放錠:32mEq
原末:26.8〜134mEq
☑︎L-アスパラギン酸カリウム
アスパラK酸50%:5.22〜15.66 mEq
アスパラK錠:5.4〜16.2mEq
☑︎グルコン酸カリウム
錠剤も細粒もどちらも:30〜40mEq
というわけで、上限を比べてみるとこんな感じになります。
つまり塩化カリウム徐放錠はL-アスパラギン酸K錠の約2倍のmEqが必要だと推測できます。(32÷16.2)
またグルコン酸カリウムの場合ならアスパラギン酸K錠の約2.5倍のmEqが必要だと推測できます(40÷16.2)
薬剤切替え後は、適切な期間内
[医師の判断によるが、概ね1~2週間]
に血清カリウム濃度を測定し、用量調整する
実際に血清カリウムを測定して微調整していくことが重要ですね。
カリウム製剤換算例
では実際に計算してみましょう。
詳しく調べたい方はニプロESファーマ株式会社Q&Aを参考にしてください
アスパラKが少なくてもいい理由
L-アスパラギン酸カリウムはカリウムの組織移行性が高いため、
カリウム量として塩化カリウム製剤の 1/4〜1/2 量で効果が得られる
というわけで、常用量対比としては1/2になるけど
L-アスパラギン酸カリウムの用量幅のことも考え1/4でも十分効果が期待できるかもしれないですね
塩化カリウムの散の場合は?
常用量対比で考える時、1日用量の上限同士で比べるとありますが
ちょっと気になることが出てきます
☑︎L-アスパラギン酸カリウムの用量は幅:5.2〜15.7 mEq
☑︎グルコン酸カリウムの用量幅:30〜40mEq
ですが、塩化ナトリウムは徐放錠と散剤で幅がかなり異なります
☑︎塩化ナトリウム徐放錠(600mg):32mEq (幅がないので分かりやすい!)
☑︎塩化ナトリウム原末:26.8〜134mEq(幅が広い!😳)
つまり散剤のみ用量幅が5倍もの幅があるため
本当にこの上限で比べていいの?
って心配になるんですよね💦
そもそも、成分は徐放錠と同じなのになぜこんなに差があるの?
塩化カリウム徐放錠は吸収に影響がある?
徐放製剤というと、薬の吸収を長時間一定にするためのものが多いですが、
塩化カリウム徐放錠は目的が異なります。
刺激を軽減する理由でマトリックス構造にしており
薬物の吸収や用量設定については言及していない
というわけで、吸収に差があるわけではなく、
どちらも成分は同じのため、
塩化カリウムの散剤の換算の代わりに
まずは用量に幅がない、塩化カリウム徐放錠の値を使って計算したほうが無難と考えられるようです。
(高カリウム血症は怖いので、慎重に考えないといけませんね)
というわけで、
実際には塩化カリウム散の用量幅があることを考えて
現場の判断になるかと思います。
参考資料:CloseDi【Q】カリウム製剤の換算は?
塩化カリウム徐放錠と散剤の常用量が大きく異なる理由は?
というわけで押さえておきたいカリウム製剤の換算についてでした。
出荷調整品になっているカリウム剤もあるので
知っておきたい換算ルールですね!
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参考資料:ニプロESファーマ株式会社Q&A
https://www.nipro-es-pharma.co.jp/product/di/qadetail.php?qano=50244
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