ロキソニンシリーズを深掘り:外用薬の「濃度」のワナと、内服薬の選び方
本記事は、外用のロキソニンEXテープが謳う「シリーズ最高濃度」表示の実際の意味と、内服のロキソニンSシリーズ(S・プラス・プレミアム・クイック・プレミアムファイン)の使い分けについて、添付文書・インタビューフォーム・メーカー公式情報などの一次情報に基づいて整理したものです。新人薬剤師をはじめ、OTC選びで患者さんに説明する機会がある方向けにまとめています。(2026年7月時点の情報)
①ロキソニンテープの種類

ロキソニンEXテープのパッケージに「シリーズ最高濃度8.1%」って書いてあったんですけど、これって医療用のロキソニンテープより濃いってことですよね?



確かに、EXテープは医療用のロキソニンテープよりも濃度が高いですね。
ただ、そこには「濃くしたい」というより「濃くしなければならない理由」があったみたいですよ。



濃くしたいわけじゃなくて、濃くしないといけない事情がある……?



今日はそのカラクリと、選び方に迷いやすい内服シリーズについても一緒に整理してみようと思います。
②外用薬シリーズの全体像
まず、テープ剤のラインナップを比較表で見てみます。
| 製品名 | 区分 | サイズ | 膏体質量/枚 | 含有率 | 1枚あたりの含有量 |
|---|---|---|---|---|---|
| ロキソプロフェンNaテープ50mg「久光」 | 医療用 | 7cm×10cm | 1g | 5.67% | 56.7mg(無水物として50mg) |
| ロキソプロフェンNaテープ100mg「久光」 | 医療用 | 10cm×14cm | 2g | 5.67% | 113.4mg(無水物として100mg) |
| ロキソニンSテープ | OTC | 7cm×10cm | 1.0g | 5.67% | 56.7mg |
| ロキソニンEXテープ | OTC | 7cm×10cm | 0.7g | 8.10% | 56.7mg |
(出典:ロキソプロフェンNaテープ50mg・100mg「久光」インタビューフォーム 久光製薬株式会社 2024年2月改訂第5版/ロキソニンSテープ・ロキソニンEXテープ製品情報 第一三共ヘルスケア公式サイト)
医療用のロキソプロフェンNaテープと、市販のロキソニンSテープは、いずれも含有率5.67%で一致しています。EXテープだけが8.10%と、シリーズの中で唯一濃度が異なる製品です。
③深掘り:濃度%のトリック



やっぱりEXの方が濃度高いですよね。じゃあ効果も強いってことですか?



ここが今回一番お伝えしたいポイントです。表の一番右、1枚あたりの含有量を見てください。医療用もSテープもEXテープも、全部56.7mgで揃っているんです。



あ、本当だ。%は違うのに、mgは同じ……?



つまり、濃度を上げたのは効果を強くするためじゃなくて、薄く・小さくするための工夫ってことですね。



EXテープは、膏体(こうたい:薬の成分を含む粘着層の部分)の質量を1.0gから0.7gまで減らしていますね。
メーカーの公式情報でも、EXテープはSテープより30%薄型化された設計になっていると案内されています。
その分、含有率を8.10%まで引き上げることで、最終的に1枚に含まれる有効成分の絶対量を他の製品と同じ56.7mgに揃えているんですね。



そのようですね。
薄型化によって貼り心地を良くする狙いがあるようですね。
「%表示」だけを見て「EXの方が効果が強い」と説明してしまうと、患者さんに誤解を与えてしまうので、ここは意識しておきたいポイントです。
(出典:ロキソニンSテープ・ロキソニンEXテープ よくあるご質問 第一三共ヘルスケア公式サイト)
④番外編:劇薬指定なのに、製剤としては規制区分「該当しな



ちなみに、ロキソプロフェンナトリウム水和物という有効成分そのものは、実は劇薬に指定されています。



え、劇薬なんですか!?ロキソニンテープが



正確には、有効成分としては劇薬指定ですが、製剤としての規制区分は「該当しない」んです。
インタビューフォームにも、「ロキソプロフェンとして1枚中に100mg以下を含有する貼付剤は除かれる」という除外規定が明記されています。



成分単体では劇薬だけど、100mg以下を含有する貼付剤という製剤形態にすることで、劇薬の規制区分からは外れる、ということですね。



そういうことみたいですね。
だからこそ100mg規格のロキソニンテープも、この除外規定の範囲内として一般的に流通しています。
「有効成分としての規制区分」と「製剤としての規制区分」は必ずしも一致しない、という点は、他の薬剤の規制区分を確認するときの視点としても押さえておくとよさそうですね。
ちなみに内服薬は「一錠中55.12mg以下」「細粒9.18%以下」「内用液剤0.55%以下」が除外されているようです。
だから今のところどれも普通薬になっていますが、アセトアミノフェンの500mgが劇薬であるように、高い規格が出た場合、劇薬になる可能性がありますね。
(出典:ロキソプロフェンNaテープ「久光」インタビューフォーム 久光製薬株式会社 2024年2月改訂第5版 X-1.規制区分)
⑤内服薬シリーズの全体像
続いて内服です。「S・プラス・プレミアム・クイック・プレミアムファイン」の違いを整理します。
| 製品名 | ベース成分 | 追加成分 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ロキソニンS | ロキソプロフェンNa水和物60mg | なし | シンプル |
| ロキソニンSプラス | 同上 | 酸化マグネシウム | 胃を保護 |
| ロキソニンSプレミアム | 同上 | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン | 胃を保護+鎮痛補助(鎮静成分あり) |
| ロキソニンSクイック | 同上 | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム | 胃を保護、速崩壊製法、鎮静成分なし |
| ロキソニンSプレミアムファイン | 同上 | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、シャクヤク乾燥エキス、ヘスペリジン | 胃を保護+生理痛向け、鎮静成分なし |
(出典:ロキソニンS/プラス/プレミアム/クイック/プレミアムファイン 製品情報 第一三共ヘルスケア公式サイト)
いずれの製品も、ベースはロキソプロフェンナトリウム水和物60mgで共通です。違いは追加されている成分だけになります。
⑥深掘り:選ぶときの3つの軸



ベースが同じなら、患者さんに何を基準にお勧めすればいいんでしょう?



大きく3つの軸で考えるとわかりやすいようです。
①胃の強さ
胃が弱い方には、酸化マグネシウムやメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが配合された「プラス」「プレミアム」「クイック」「プレミアムファイン」が向いています。
②運転するかどうか



内服薬で運転が関係あるんですか?



あるんです。プレミアムに配合されているアリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静成分にあたるので、添付文書にも「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と明記されています。
運転の予定がある方には、同じ胃保護成分を含みつつ鎮静成分の入っていない製品を案内する方が適切ですね。
③生理痛がメインかどうか
生理痛対策を主目的にする方には、シャクヤク乾燥エキスとヘスペリジンが追加された「プレミアムファイン」が選択肢になります。



「なんとなく強そう」というイメージだけで「プレミアム」を勧めるのは避けた方がよさそうですね。



そうですね。「本日は運転されますか?」と一言確認できると、より的確な提案につながりますね。
(出典:ロキソニンSプレミアム よくあるご質問「服用後、何時間経てば運転してもよいですか?」第一三共ヘルスケア公式サイト)
まとめ・実務でのポイント
- 外用薬:EXテープの「濃度が高い」は薄型化のための設計であり、1枚あたりの有効成分量は医療用・Sテープと同じ56.7mgで統一されている
- 有効成分は劇薬指定だが、100mg以下を含有する貼付剤という製剤形態は規制区分の除外対象になっている
- 内服薬:ベース成分はすべて共通(ロキソプロフェンナトリウム水和物60mg)。選ぶ基準は「胃の強さ」「運転の有無」「生理痛かどうか」の3点で整理できる
「ロキソニン」という名前がついていても、製品ごとに設計や注意点は大きく異なります。 名前や「濃度」「プレミアム」といった表示だけで判断せず、成分表と添付文書を確認する習慣が、正確な情報提供につながります。
参考文献・情報源
- ロキソプロフェンNaテープ50mg・100mg「久光」医薬品インタビューフォーム(久光製薬株式会社、2024年2月改訂第5版)
- ロキソニンSテープ・ロキソニンEXテープ 製品情報/よくあるご質問(第一三共ヘルスケア公式サイト)
- ロキソニンS/プラス/プレミアム/クイック/プレミアムファイン 製品情報/よくあるご質問(第一三共ヘルスケア公式サイト)
- ロキソニン医療用医薬品情報(KEGG MEDICUS)
- https://www.wam.go.jp/wamappl/bb11gs20.nsf/0/fb32bb2bf1b12d5d49257696000adce3/$FILE/20091224_5shiryou19~23.pdf
免責事項:本記事は一次情報に基づく情報提供を目的としており、診断・治療・服薬指導の代替ではありません。医療従事者の方は、必ず最新の添付文書・インタビューフォームでご確認のうえご判断ください。一般の方は自己判断で薬の選択・服用・中止をせず、必ず医師・薬剤師にご相談ください。体調に異変があれば速やかに医療機関を受診してください。本記事の情報利用により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます。








