
今日は、とても質問の多い
ロキソニンのお話です。
最新の情報でお伝えしますので、
よろしかったら参考にしてくださいね!
痛み止めといえばロキソニン!
とロキソニンをよく飲まれる方は多いのではないでしょうか?
ところで、調剤の現場で働いていると
よく聞かれるのが
医療用のロキソニンと
市販のロキソニンシリーズの違いです。
と言うわけで、今回は医療用と市販薬の違いについて
また、市販薬同士の違いについてもまとめてみたいと思います。
気になる方は是非チェックしてくださいね!
医療用のロキソニン
医療用でロキソニンというと
第一三共から販売されている先発品ということになります。
「ロキソニン」という名前以外は全て
成分名+メーカー名(屋号等)の記載となりいわゆる後発品(ジェネリック)ということになります。
ロキソプロフェン「メーカー名」
のように記載されているかと思います。
医療用のロキソニン内服薬には2つの製品があります。
☑︎ロキソニン錠60mg
☑︎ロキソニン細粒10%
あとは外用薬になります
(ゲル、パップ、テープがあります)
ただ、後発品になると
錠剤、細粒に加えて液剤というものがあります。
日医工から発売されている
ロキソプロフェンナトリウム内服液「日医工」
これは先発品のロキソニンにはありません。
では次に市販のロキソニンについて見てみましょう。
市販のロキソニン
現在、第一三共ヘルスケアから発売されている
ロキソニンシリーズには4つのラインナップがあります。
今までは3つだったのですが、2021/8に4つ目の「ロキソニンSクイック」が発売されました。
ちなみに市販のロキソニン(ロキソプロフェン)の効能は以下の通りです。
ロキソプロフェン単剤のお薬の効能は、メーカーが異なっても同じになります。
(1)頭痛・腰痛・関節痛・月経痛(生理痛)・肩こり痛・神経痛・筋肉痛・骨折痛・ねんざ痛・打撲痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・外傷痛の鎮痛
(2)悪寒・発熱時の解熱
頭痛薬と思われている方が多いですが、
こう見ると、様々な痛みに有効だということがわかります。

もちろん解熱効果もあるお薬になります。
ロキソニンS
これは一番シンプルなロキソニンになります。
実はこれは医療用のロキソニン錠と全く同じ成分になります。
(はたらきはメーカーの商品説明から記載しています。)
有効成分 | 含量 | はたらき |
ロキソプロフェンナトリウム無水物 | 60mg | 炎症や痛みのもとを抑える |
というわけで、
成分は1つのみです。
全く同じ成分というのは、
この有効成分のみならず、添加物までも全て同じということです。
違いはこの2点だけです。
割線というのは錠剤を半分に割りやすいように真ん中に作られた溝です。
よく先発品とジェネリック品は添加物が異なるため
全く同じものとは言えないと言われますが、
これは全く同じと言って問題ないと思います。
「医療用のロキソニンは効くけど、市販のロキソニンSは効かない!」
と言う方がいたら、きっと気のせいです。
では次にいきましょう
ロキソニンSプラス
ピンクのかわいい箱ですね。
よくピンク色は女性向けと思われている方がいますが、
この製品に関しては全く関係ありません。
(痔の薬や、水虫薬などはその傾向があります。)
では成分について見てみましょう。
(はたらきはメーカーの商品説明から記載しています。)
有効成分 | 含量 | はたらき |
ロキソプロフェンナトリウム無水物 | 60mg | 炎症や痛みのもとを抑える |
酸化マグネシウム | 33.3mg | 胃粘膜を保護する |
胃酸を中和する目的で配合されています。
胃に優しい成分が配合されているということになります。
用量を増やすことで、便秘薬として使われることでも有名です。
(癖になりにくい便秘薬として知られています。)
ロキソニンSプレミアム
ご覧ください。
ピカピカで箱が豪華です!
と言うわけで想像通り、いわゆる成分的に最高処方と謳っている製品です。
では成分を確認してみましょう
(はたらきはメーカーの商品説明から記載しています。)
成分 | 含量 | はたらき |
ロキソプロフェンナトリウム無水物 | 60mg | 炎症や痛みのもとを抑える |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 60mg | 痛みをおさえる効果を高める |
無水カフェイン | 50mg | 痛みをおさえるはたらきを助ける |
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム | 100mg | 胃粘膜を保護する |
それぞれの成分をもっと詳しく確認しましょう
アリルイソプロピル尿素
メーカーの成分説明では
「痛みをおさえる効果を高める」とありますが
市販薬で使われる際、一般的に期待される効果は
鎮静効果です。
つまり緊張、興奮、いらいら感などを鎮めて気持ちを落着かせる作用になります。
鎮静効果があると言うことで
この成分が入っていると眠気が出ることがあります。

そのため、痛みだけ抑えられればいいという場合は、
この成分が入っていない方がいいかと思います。
無水カフェイン
コーヒーやお茶に含まれるカフェインですね。
メーカーの成分紹介では痛みをおさえるはたらきを助けると書かれていますが、
実際頭痛に対して補助的な効果があることが知られています。
また、アリルイソプロピルアセチル尿素配合による眠気防止という効果も多少期待されていると思われます。
ただ、これが入っていれば眠気は防止できるというわけではありません。
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
こちらはロキソニンSプラスが制酸剤だったのに対し、
こちらは胃粘膜保護剤になります。
ロキソニンはプロドラッグ※と言われ、比較的いに優しいと言われていますが、
それでもやはり胃に負担がかかるため、予防的に胃薬が配合されているようです。
※成分が体内で吸収されてから活性型に変化し、効果を発揮する仕組みの製剤
医療用でも、よくロキソニンとムコスタ(レバミピド)/セルベックス(テプレノン)などが併用されることがあると思いますが、同じ理由ですね。
というわけで、
鎮痛剤+鎮静剤の配合で頭痛によるイライラなどにも効果が期待でき、
さらに胃粘膜保護剤配合でより胃に優しいということになります。
ロキソニンSクイック
これは2021年8月に発売されたばかりのシリーズ最新作です。
何が違うのでしょうか?
早速成分を見てみましょう。
成分 | 含量 | はたらき |
ロキソプロフェンナトリウム無水物 | 60mg | 炎症や痛みのもとを抑える |
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム | 100mg | 胃粘膜を保護する |
プレミアムよりも成分減ってるじゃん?
この製品の特徴は剤形にあるようです。
キャッチコピーにあるように、0.1秒でも速く!と
効き目の速さに特化した剤形になります。
アルミシートで、より湿気から守るシートになっています。
胃粘膜保護剤に変えただけなので、
という方は普通のロキソニンSかロキソニンSプラスで問題ないかと思います。
有効成分はロキソプロフェンのみですが、
市販薬は配合した成分によって4つの製品があるということをお伝えしました。
ロキソニンSと同じ成分の市販薬
プランドで知られる大手のお薬から行きますね。
ナロンLoxyシリーズ
こちらは大手の大正製薬による製品で
現在2種類の製品があります。
これはロキソニンSシリーズと異なり
剤形が異なるということでの違いになります。
どちらも成分的には一番シンプルなロキソニンSと同じになります。
違いは?
ナロンLoxy
ナロンLoxyの特徴
こちらはハイドロフラッシュ製法とのことですが、
ナロンLoxyロキソプロフェンT液
今現在市販で唯一の液剤になります。
ちなみに、医療用でも液剤が1社だけ作っており
ロキソプロフェンナトリウム内服液「日医工」
というのが剤形的にはこれに当たります。(メーカーは異なります)
この液剤のメリットってなんでしょう?
・錠剤が苦手な方でも飲みやすい・水がなくていつでも飲める・溶ける過程がないため効き目が早い
市販では今のところ粉薬はありません。
この液剤が選択肢になるかと思います。
バファリンEX

バファリンシリーズは子供用も含め成分は様々です。
(はたらきはメーカーの成分説明から記載しています。)
成分 | 含量 | はたらき |
ロキソプロフェンナトリウム無水物 | 60mg | 頭痛、腰痛、関節痛、生理痛等の痛みをおさえ、熱も下げる |
乾燥水酸化アルミニウムゲル | 120mg | 胃粘膜を保護する |
成分としてはバファリン特有の胃粘膜保護剤である乾燥水酸化アルミニウムゲルが配合されています。
また剤形としての2つの工夫があります。
胃粘膜保護成分が先に溶けて胃を守り
次に有効成分が鎮痛効果を発揮する
というわけで、他にはないちょっと変わった構造と大きさがポイントです。
それではそれ以外の市販薬についてです。
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
これは他とは異なり喉の痛みや発熱にターゲットを絞った商品です。
まずは成分を見てみましょう。
(はたらきはメーカーの成分説明から記載しています。)
成分 | 含量 | はたらき |
ロキソプロフェンナトリウム無水物 | 60mg | 炎症を鎮めて、ハレや発赤、痛みなどの症状を抑える |
トラネキサム酸 | 140.0mg | のどのハレと痛みをとる |
こうみるとはたらきの記載がメーカーによって様々ですね。
こちらはトラネキサム酸配合のため
特に喉の痛みを持つ方、熱がある方向けの商品として特化しています。
とはいえ、実際の効能効果は他のロキソプロフェン製剤と同じです。
- ●咽喉痛・頭痛・関節痛・筋肉痛・耳痛・神経痛・腰痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・外傷痛の鎮痛
●発熱・悪寒時の解熱
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」
この名前の感じは
医療用医薬品のジェネリックみたいですね。
似たようなお薬はいくつもあります。
概ね、お値段が安いのが特徴です。
特にこの皇漢堂の「クニヒロ」シリーズは
パッケージを変えて他のPBとして売られていることも多いです。
お値段だけをみると
こういったブランド感のない成分名のお薬が一番コスパが良いかと思いますが、
お値段が安いと気軽に服用しがちなのが問題かなと思います。
10箱セットで購入されている方も多く、
ちょっと痛いだけですぐに飲んでしまうこともある様子。
そうすると胃にも負担がかかりますし、
一番心配なのは薬剤性の頭痛として、余計に頭痛が悪化してしまうということがお起こりかねないということです。
薬剤乱用性頭痛

頭が痛いな〜と思ったら
すぐに薬を飲む方ですか?
それとも他の方法も考えるでしょうか?
もし、すぐに薬に頼ってしまう方は注意です!
1日4時間以上の頭痛が月に15日以上(1年に180日以上)出現するものを
「慢性連日性頭痛」
と言いますが、
その頭痛の原因としては3つの可能性があると言われています。
1. 慢性の片頭痛
2. 慢性の緊張型頭痛
3. 薬物乱用頭痛
です。
このうち今回取り上げたい薬物乱用頭痛の疑いがあるのは
このような頭痛です。
特に無水カフェインが含まれている場合は依存性を招きやすいと言われています。

ロキソプロフェンの市販薬では
ロキソニンSプレミアムは避けた方がいいのではないかと思います。アリルイソプロピルアセチル尿素も依存を起こしやすく
薬剤乱用頭痛につながりやすくなるためです。
他の頭痛薬でも同じです。「薬に頼りすぎているかもしれない」と思ったら
こんなことを自分に問いかけて欲しいと思います。
薬剤乱用性頭痛になってしまってからでは遅いです。

他に大きな病気が隠れているかもしれません。市販薬でその時は治るかもしれませんが、
続くようなら、必ず受診してくださいね。
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