薬剤師のNorikoです。前回比較的安全性の高いと言われる睡眠薬
オレキシン受容体拮抗薬
メラトニン受容体作動薬
について学びましたが、
今回はさらに自然に近いと言われる
メラトニンが主成分のお薬
『メラトベル』について学びたいと思います。
メラトニンって何?
メラトニンは脳内の松果体において生合成されるホルモン
で
概日リズム(サーカディアンリズム)を整える役割があります。
メラトニンは夜に多く分泌され眠気を誘い
光によって分泌が減り、目が覚めます。
(光って重要!☀️)
ただ昼夜の区別のない環境(窓のない密室内など)でも、体内時計からの神経出力によって昼高夜低の日内変動は続きます。
逆に強い照明(1000ルクス、コンビニの店内など)を浴びれば、夜間であってもメラトニン分泌量は低下します。
すなわちメラトニンは体内時計と環境光の両方から調節を受けています。
(参考資料:厚生労働省e-ヘルスネット[メラトニン])
日本初のメラトニン製剤『メラトベルの特徴』
体内に自然に存在するメラトニンそのもの
(だから用量を守ればとても安全)
小児の神経発達症のみの保険適応で成人には処方することができません(2021/6)
小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善
神経発達症とは?
知的能力障害群、コミュニケーショ ン症群、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症、運動症群又は他の神経発達症群
などを示します。
用法用量
通常、小児にはメラトニンとして1日1回1mgを就寝前に経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと
この小児というのは何歳?
と思われるかもしれませんが、
通常、6~15歳が対象だそうです。
それ以外は有効性と安全性が確立されていないためとのことです。
16歳以上になると、もし同じような薬効を期待すると
作用機序が近いメラトニン受容体作動薬『ロゼレム』が適応になるという感じですね。
ロゼレムについてはこちら
どの程度の期間でで効果を見極めたらいいのか
投与開始3ヵ月後を目途に入眠困難に対する有効性及び安全性を評価し、
有効性を認めない場合には投与中止を考慮し、漫然と投与しないこと。
すぐに判断せず、しばらく続けて見極めるようなお薬ですね。
メラトニン受容体作動薬との違い
どちらもメラトニン系のお薬になりますが
『メラトベル』はメラトニンそのものであるのに対して、
『ロゼレム』は、受容体に作用します。
どちらも用量を守れば安全性の高いお薬になりますが
『メラトベル』の方が、より自然な成分ということで安全性が高いと言われ
海外では誰でも買えるサプリメントとして販売されています。
(日本では原則購入できません)
また、大きな違いは適応年齢になります。
☑︎ロゼレムは成人に対する適応になります。
海外でのメラトニンの普及
大抵どこのドラッグストアーに行っても置いてあります。
効果は、う〜んどうかな?
私は結構いつでも眠れる人だったので
よく分かりませんでした😅
参考にならずすみません💦
海外のサプリの服用例
あまり効果は期待できません。
海外旅行で気軽に購入したとしても服用量にご注意ください。
日本でもメラトニンは買える?
原則購入することはできません。
というのも、個人輸入で購入したものは、全て自己責任になります。
救済制度がありません。
含量値が 100% から大きく外れた製品やばらつきの大きい製品が多く見られたり、
徐放製剤の徐放性が十分でないものなどもあったようです。
日本の医薬品としてはそんなことはあり得ないので、
いくらサプリメント扱いとは言え、個人輸入してまで服用するのはあまりお勧めではありません。
※2018年 脳と発達 2018 ; 50 :364 ― 6
本邦で入手できるメラトニンサプリメントの品質評価
日本で処方してもらえる?
そのため処方してもらうには条件が合わなければいけません。
(これは処方されるというものではありません)
・産婦人科
・歯科
・メラトニン外来
どうしても試してみたいという方は
個人輸入するよりも、そういったクリニックで聞いてみる方が
まだ安全性は高いかなと思います。
メラトニン受容体作動薬である
『ロゼレム』を医師から処方してもらい
試してみるのもいいかもしれません。
すでにベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系など
他の睡眠導入剤で治療をしていた方だと
効果のほどはもしかしたら期待できないかもしれません。
(それだけ効果が自然で穏やかです。)
日本で買える睡眠改善サプリメント
日本ではメラトニンそのものは購入できませんが
メラトニンの前駆体(メラトニンの元になる成分)や
その他、リラックスされる効果を持つサプリメントはたくさん売られています。
トリプトファン
必須アミノ酸の一種であるトリプトファンは、
精神安定の効果があるセロトニンの材料になることから、様々な効果が期待され多くのサプリメントにも配合されています。
また、メラトニンはセロトニンから作られるため、
最終的に安眠をサポートされると言われています。
つまり、松果体から分泌されるホルモンである、メラトニンを作る際の原料の素になるということですね。
参考:厚生労働省e-ヘルスネット セロトニン
テアニン
お茶を飲むと気持ちがゆったりとして、リラックスした気分にさせてくれます。
お茶には神経を高揚させる働きのあるカフェインが含まれているにも関わらず、気持ちが落ち着くのは、お茶に含まれるテアニンの作用であるといわれています。
その原因は、カフェインとテアニンの同時摂取により、カフェインによる興奮作用が抑制されるからであると報告されています。
身体の神経性支配は交感神経と副交感神経の二つの異なる神経系に支配されており、闘争心の旺盛なときは交感神経の活性度が増し、一方ゆったりとした精神状態のときには副交感神経の活性度が増すといわれています。
テアニンを摂取すると、交感神経には影響がないものの、副交感神経の活性を増すことが分かっており、またリラックス時に発現する脳波として知られているα波を増強することでリラックス状態になると報告されています。
よって、テアニンを摂取することでストレスの低減や集中力の向上、起床時のリフレッシュ感がより高くなると考えられています。そのほかに、血圧上昇を抑制するといった生理作用も知られています。
参考:食品分析開発センター テアニンより
テアニンは、お茶の代表的な旨み成分の1つで、テアニンは甘み旨みの成分と言われています。
一番茶(新茶)のように初期の若い芽に多く含まれ、二番茶、三番茶と成熟した葉では極端に少なくなります。
また、玉露のように日光を遮って栽培すると、テアニンからカテキンの生成が抑えられるため、茶葉中にテアニンを豊富に含んだままの状態になります。逆に言えば、高級茶ほどカテキン含量は少なくなります。よって新茶や玉露にはテアニンが多く含まれ、旨味の多い味わいとなることが報告されています。
GABA
GABAは今ではお菓子にも配合されている成分ですね。
GABAは、植物や動物、人の体内にも広く存在するアミノ酸のひとつで
主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働いています。
交感神経活動を抑制して、ストレスの緩和、深部体温を低下させ、
寝つきに対して改善効果があると報告されています・・・が
実際、経口服用しても、血液脳関門を通ることができない成分なので、
本来のGABAのように、直接リラックス効果があるとは言えないとも言われています。
一方で、30mgの経口投与で自律神経系に作用しリラクセーション効果を有する可能性が示唆されたという論文データ※もあります。
※参考:Activation of Autonomic Nervous System Activity by the Oral Ingestion of GABA 日本栄養・食糧学会誌 2008 年 61 巻 3 号 p. 129-133
グリシン
グリシンは、コラーゲンのようなタンパク質、グルタチオンのようなペプチドなど、身体を作り、体調を整えるのに必要な、さまざまな物質の材料になります。
また、睡眠に関しても様々な効果が期待できるとされており、
深部体温を下げて深い睡眠に導き
睡眠のリズムを整え、「睡眠を質」を改善すると言われています。
参考:味の素いきいき健康研究所
ラフマ
ラフマは、中央アジア及びヨーロッパ温帯地域に自生する宿根草で、
その葉は古くから茶として利用され、
中国薬典に「肝臓を鎮め、心を安定させる。不眠に使用する。」
と収載されていると収載されています。
ラフマから抽出される成分であるベネトロンの摂取により血中セロトニン量が増加するという研究データがあり、不眠に効果が期待できるとされています。
参考:株式会社常磐植物化学研究所睡眠の質の改善ラフマ抽出物 「ベネトロン®」
これらの成分以外にもたくさんありますが
現在サプリメントとして販売されている主要な4成分について取り上げてみました。
では、実際どんなサプリメントがあるのでしょう?
『睡眠、サプリ』で調べると膨大な数の商品がヒットしますが、
「実際どれがいいでしょう?」
と聞かれても答えるのは難しいです。
ではどこで判断したらいいでしょう?
睡眠サプリの選び方
睡眠サプリに限らず、全てのサプリに言えることですが
こんなことを注意して購入すると良いんじゃないかなと思っています。
☑︎含有量の記載がある
実際には量的にはほとんど入っていないというものもあります。
☑︎レビューが多く、内容に偏りがない
全体的なレビューの評価が良くても、
数が少なすぎると本当に一般の方が購入してレビューをしたのが怪しいです。
低い評価が全くないというのも怪しいです。
全てが高評価になるわけがありません。
☑︎できれば国内生産
海外のものは含有量が多くても不純物が多い粗悪な製品もあるので
もし国内産でなかったとしても、
しっかり管理したメーカーで作られていることを確認するのは重要ですね。
睡眠サポートサプリ
以下は特別お勧めしているわけではありませんが
含有量がしっかり書かれ、評価に偏りがなく、国内産のものをあげてみました。
参考になさってみてください。
⬆︎ネムリッチ
GABA :3600㎎
グリシン:16200㎎
レビューの数がとても多いので参考になると思います。
⬆︎sleePRO
グリシン:14940mg
GABA:3000mg
テアニン:3000mg
トリプトファン:1200mg
⬆︎ファイン グリシン3000&テアニン200
グリシン:3000mg
L-テアニン:200mg
⬆︎ファイン グリシン4000
グリシン:4000
イノシトール:500mg
γ-アミノ酪酸(GABA):400mg
L-テアニン:50mg
L-トリプトファン:50mg
上記の商品よりグリシン多め+αの商品ですね。
⬆︎ねむりん
トリプトファン:120mg
テアニン:62mg
GABA:40mg
グリシン:118mg その他
薬剤師が監修ということで面白いなと思い取り上げてみました。
バレリアンエキス末,ネムノキエキス末というものが配合されており
それが特徴のようです。
配合量などの記載がしっかりしている商品をご紹介しました。正直効果は飲んでみないとわからない!
万人に効くサプリなんてありません。でも病院に行く前に、
こういったものを試してみるものいいかもしれないですね。
逆にお勧めしない商品をご紹介
お勧めしないサプリメント
グリシン:3000mg
にしても高いな〜と思います。
同じような内容でもっと低価格のものはたくさんあります。
しっかり成分と含有量を確認してから検討することをお勧めします。
今回は小児に使われる睡眠薬『メラトベル』
そして、サプリメントについて
まとめてみました。インスタではもっとコンパクトにして
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