整腸薬はどんな薬も併用OK? 注意点と見落としがちな併用注意薬

Noriko
こんにちは。
今日は市販薬で見落としがちな成分についてのお話です。
整腸剤って別に併用問題ないでしょ?と思われている方、ちょっと注意が必要かもですよ!



整腸薬は他の薬に影響する?

医療用の整腸薬で
いわゆる乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などの成分は
特に一緒に服用してはいけないお薬はありません。
また、多少重なったところで副作用が問題になることはほぼありません。
もしあったとしても、問題になるような副作用はほとんど報告されていません。
そのため、
医師や、薬剤師も・・・
市販の整腸剤を飲んでる?
全然大丈夫、一緒に飲んじゃって問題ないですよ〜
と軽く流されることがあるのですが、
実は医療用はそれでよくても
市販薬はちょっと注意が必要です。
今回は市販薬の併用注意な整腸剤についてまとめてみようと思います。

医療用と重複しやすい整腸薬①

 

まず、医療用でよく処方される成分と同じ成分が配合されている整腸剤があります。
それは『ジメチルポリシロキサン』

 

え?そんな成分聞いたことないけど?

本当に医療用の薬と同じ成分なの?

 

Noriko

実は医療用ではジメチルポリシロキサンは別名の『ジメチコン』で知られています。

これを聞くと、あ〜ガスコンやガスサールのことね。
とピンとくる方が多いかと思います。

 

このお薬は市販薬でも

『ぽっこりお腹に』

『ガスだまりを改善』

などオナラに関する効能を謳っているものが多いです。

例えば・・・

 

 

【第3類医薬品】ガスピタンa 36錠

 

【第3類医薬品】ビオフェルミン ぽっこり整腸チュアブルa 60錠

 

ラッパ整腸薬BF 24包[指定医薬部外品]

 

このジメチルポリシロキサンの配合量が市販薬ではほとんどが

成人で1日あたり180mgの配合となっています。

つまり、医療用で使われる量と変わりないんですね。

 

Noriko

というわけで、もし医師からジメチコンが処方されている場合

市販の配合薬も併用してしまうと、医療用の最高量240mg/日を余裕で超えてしまうわけです

 

ジメチコンを配合した市販薬についてはこちら⬇︎⬇︎⬇︎

オナラを止める薬?そんなのあるの?市販薬を薬剤師が解説

 

医療用と重複しやすい整腸薬②

整腸薬という名前でもガッツリ便秘薬が配合されているものもあります。

例えばこちら

【第3類医薬品】太田胃散整腸薬 デ・ルモア錠 180錠

 

Noriko
こちらは名前は整腸剤となっていますが
実質便秘薬です。

というのも『水酸化マグネシウム』がしっかり量配合されています。

酸化マグネシウムは最近よく耳にするので
一般の方にも浸透していますが、

水酸化マグネシウムと言うと「?」となってしまう方がいます。

 

Noriko
水酸化マグネシウムも酸化マグネシウム同様に便を柔らかくする成分で非刺激性の便秘薬として使われます

 

医療用でも、市販薬でも『ミルマグ』として販売されているお薬です。

 

整腸薬は一般的に便秘にも、軟便にもどちらにも効くと言われており、
どちらのタイプでも使えるため、家族で服用していることが多いお薬です。

そのため、こちらは例え整腸薬の一つだとしても、
軟便の方が飲んでしまうと、余計に悪化してしまうので注意が必要です。

また、医療用で酸化マグネシウムや、他の便意薬が出た場合

相乗効果を期待するのならいいのですが、知らずに服用していると

お腹を下して大変なことになる可能性もありますし

マグネシウムの摂りすぎで、高マグネシウム血症の危険性もあります。

 

Noriko

すでに他に便秘薬を服用している場合は
こういった成分の入っていない普通の整腸薬の方が無難ですね。

 

医療用と併用注意の整腸薬

 

制酸剤

整腸薬には善玉菌の効果を高めるために酸の影響を抑えるように

胃酸中和剤が配合されているものがあります。

また、『胃と腸に効く!』というお薬もあり、

水酸化マグネシウム

沈降炭酸カルシウム

などが配合さえている場合があります。

先ほどの水酸化マグネシウムは便秘薬としても配合されていましたね。

 

これらの制酸剤は他のお薬の吸収に影響してしまうことがあります。

例えば抗菌薬の一部(セフジニルやニューキノロンなど)や

チラーヂン、ウルソ系も吸収に影響してしまいます。

 

納豆菌

面白いのはこの納豆菌です。

 

Noriko

一般の方は納豆は体に良さそうなのに注意なの?
と思う方がいらっしゃいますが、

医療従事者であれば、納豆は特定の薬に禁忌というのは有名な話です

 

納豆を食べてはいけない薬とは

ズバリ、ワーファリン(ワルファリン)ですが、

それはなぜでしょう?

 

血を固めるためにはビタミンKが必要ですが、ワーファリンはビタミンKの働きを妨げる効果があります。

そのため、ビタミンKをたくさん摂りすぎてしまうとワーファリンの効果が弱まってしまいます。

納豆にはワーファリンの効果を妨げるビタミンKがとても多く含まれており、
ワーファリンを服用している患者さんは食べてはいけないとされています。

これは量の問題ではなくて、食べてはいけない食品とされています。

 

でも、市販の整腸薬に入ってるのは納豆そのものではなくて、納豆菌だけどそれでもダメなの?

 

納豆にもともと含まれるビタミンKと、納豆菌は関係ありません。

ただ、体内に入った時に納豆菌は体内で微量ながらビタミンKを産生してしまいます。

そのため、納豆そのものではなくても体内で作られるビタミンKの影響のため

ワーファリンとは併用することが注意とされています。

 

医療用にはそもそも納豆菌という薬がないため
市販薬の納豆菌について添付文書ではどのように記載されているのか確認してみました。

 

 

抗凝血剤(ワルファリン)を服用している人は、医師、薬剤師、または登録販売者にご相談ください

 

 

と書かれています。
さて、相談された医師、薬剤師、または登録販売者はどうしたらいいでしょう?

 

 

Noriko
市販薬は判断を専門家に委ねる(丸投げしている)解説が多く
それは、もちろんケースバイケースなので仕方ないのですが、
相談された方も、全くデータがないのに困りますよね😓

 

 

というわけで各社メーカー何かデータはないのか聞いてみました。
『ザ・ガード』の興和株式会社と
『パンラクミンプラス』の第一三共さんです

 

 

納豆菌によるワルファリンへの影響についてのデータはありますか?
特に併用した場合の臨床データはありません。
ただ、納豆菌によるビタミンKの産生が微量ながらありますので、ワルファリンへ影響する可能性があるために記載しております。
というわけで、どちらも同じ答えでした。

 

 

Noriko
正直、これでは判断任せますと言われても
薬剤師としても困りますよね・・・
ダメとも言えないけど、大丈夫とも言えない。
ただ言えることは
整腸剤は他にもたくさん選択肢があるので、
何もリスクがあるかもしれない薬を選ぶ必要はない
ということだと思います。
ところで納豆菌はなぜ整腸薬に配合されているのでしょう?
納豆菌は腸内の善玉菌であるビフィズス菌の増殖を助け、整腸作用を示すため配合されています。
Noriko
ちなみに、納豆菌は糖化菌の一つです。
糖化菌とはビオスリーにも配合されていますが、
ビオスリーの糖化菌は納豆菌とは異なります。
そのため、ビオスリーはワルファリンと併用しても問題ありません

【第3類医薬品】ザ・ガードコーワ整腸錠α3 550錠

【第3類医薬品】パンラクミンプラス 300錠

 

 

同じ名前でもシリーズで配合が異なるため注意

例えば整腸剤といえば
『ビオフェルミン』が有名だと思いますが、
こちらはビオフェルミンシリーズとして今現在なんと7種類も存在します。(2022/6)
そのため、単にビオフェルミンと言っても製品によっては注意が必要になることがあります。
ビオフェルミンについてはこちらでまとめましたので
よろしかったら参考にしてください☺️⬇︎⬇︎⬇︎

 

Noriko
というわけで、市販薬は整腸剤だから安心とはいえない
というお話でした。こんなちょっとした学びを発信しています。
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