市販で買える睡眠薬?睡眠改善薬のまとめ1

Noriko

こんにちは。
薬剤師のNorikoです。

最近睡眠関係のお薬についてまとめていましたが、
市販薬についても触れてみようと思います。
(実は元々OTC出身です。)

医療用との違い
副作用などについても確認してみましょう

 

 



 



市販で買える睡眠改善薬の分類

まず、市販薬では睡眠薬とは言わず

『催眠鎮静薬』と分類されます。

軽度の不眠に対するお薬で
不眠症の治療薬ではないということに注意する必要があります。

医療用で主流となっているベンゾジアゼピン系
非ベンゾジアゼピン系

また、比較的新しいオレキシン系

前回のホルモンど同じ成分のメラトニン

どの医薬品とも異なります。

 

 

Noriko

作用も医療用に比べて穏やかなものになり、
安全性も比較的高いものになります。
とは言え注意事項についても確認していきましょう
今回は代表的な睡眠改善成分
『ジフェンヒドラミン』について
まとめてみたいと思います。

 

 

 

ジフェンヒドラミン

こちらは睡眠改善成分になります。

ジフェンヒドラミンについての説明はこちら

ジフェンヒドラミン

第一世代の抗ヒスタミン薬で、脳の視床下部にある興奮性ニューロンであるヒスタミンニューロンを抑制することにより催眠鎮静作用をもたらす
抗ヒスタミン薬の中でも特に催眠鎮静作用が強く、眠気の副作用を利用して一時的な不眠症状を改善する

今日のOTC薬(改訂版4版)

 

つまり、本来なら副作用として嫌われがちな「眠気」を
主作用として利用するというお薬ですね。
なので、医療用とは効能が異なります。

 

 

医療用のジフェンヒドラミン

医療用ではジフェンヒドラミンは
製品名:レスタミンとして知られていますが、
レスタミンの効能効果はこちらです。
(外用もありますが、こちらは内用についてです。)

 

レスタミンコーワ錠 効能効果
じん麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎)、春季カタルに伴うそう痒、枯草熱、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎
どこにも睡眠改善とは書かれていませんね。

 

では用法用量はどうでしょう?
レスタミンコーワ錠 用法用量
通常、成人1回3〜5錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩として30〜50mg)を1日2〜3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常睡眠薬は就寝前(直前)の用法になりますが、
日中も服用できるものとなっています。
ただ、もちろん眠気が出やすくなるので
その注意喚起はされています。

 

眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。

 

ちなみにですが、
このお薬は医療用と同じ目的で(つまりアレルギー症状に対して)
市販で購入することもできます。

この場合、例え同じ成分でも、
睡眠改善薬とは効能効果、用法用量が異なるので十分注意が必要ですね
では、睡眠改善薬として売られているジフェンヒドラミンの
市販薬にはどんなものがあるのか取り上げてみます。

 

 

 

市販で買える睡眠改善薬
ジフェンヒドラミン

まずは、昔からある大手エスエス製薬さんのお薬から。

ドリエル

ドリエルEX


この2つの違いはなんでしょうか?

 

主成分は、ジフェンヒドラミン:50mg(全く同じ)
ドリエルは錠剤で1回2錠なのに対し、
ドリエルEXはカプセルで1回1カプセルになります。
また、ドリエルEXは早く溶けるソフトカプセル製剤で、ラベンダーの香りとのことです。
EXの方がお値段がお高めになります。
どれだけ早く効くのかについては
データが見つからなかったのでわかりません。
個人的には、痛み止めのような即効性を期待するものではないので、
お高いカプセルにする必要はそれほどメリットはないかなと感じます。
(個人的な感想です)
同じようなカプセル剤で探すと
アマゾン限定商品でこんなものもあります

スヤットミン

こちらもドリエルEX同様ソフトカプセルなので、
吸収が早いを売りにしています。
成分量は全く同じです。
お値段も良心的なので、試してみるのにはちょうどいいですね。
次に液剤タイプのご紹介。

アンミナイト

こちらは液剤になります。
即効性を期待するなら、カプセルよりもありそうですがどうでしょう?

成分量もドリエルと全く同じです。

ちなみに気になるお味の方はアセロラ味

 

 

お値段で人気の商品がこちら

リポスミン


成分量はこちらも他のジフェンヒドラミン製剤と同じです。

見ていただければ分かる通り、
ドリエルに比べるとかなりお安い設定になっています。

もちろん成分は全く同じです。

メーカーが怪しい?
と思われるかもしれませんが、メーカーは皇漢堂製薬さんで、
OTCでもいろいろなお薬を出しているちゃんとした製薬会社さんです。

こちらの会社は、昔から大手の製薬会社に対抗して、同等の成分のものを低価格で提供しているというイメージですね。

 

ただ、販売している販売会社によっては
5個セット、10個セットなんて売り方もあり、
これはどうかなと思います。

 

 

市販薬はあくまで短期的に使うものなので
このようなまとめ買いする購入方法はお勧めしません。

 

そこまで必要であれば、一度受診して欲しいと思います。

 

他にもいろいろな製薬会社からジフェンヒドラミン製剤は販売されていますが、
共通して言えることがあります。

 

市販薬の睡眠改善薬としての
『ジフェンヒドラミン』はどれも1回分が50mgなので効果に違いは期待できない!

 

Noriko
なので、様々なお薬が販売されていますが、
ジフェンヒドラミンを主成分とする睡眠改善薬は
基本どれも同じ!と思って問題ないかと思います。
(例外もあるので後述します)
2021/7現在

 



ジフェンヒドラミンの注意点

それから、副作用についても注意して欲しいと思います。
もちろん、副作用には眠気があります。
これは主作用でもありますね。
なので注意書きがあります。

 

服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください
(眠気をもよおして事故を起こすことがあります。また、本剤の服用に より、翌日まで眠気が続いたり、だるさを感じる場合は、これらの症状 が消えるまで、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。) 

 

このジフェンヒドラミンは第1世代であるのに対し、
医療用でアレルギーに対して処方される抗ヒスタミン薬は
現在ほとんどが第3世代になります。
つまり、副作用などが改善された新しいお薬になります。
特に眠気の副作用が出にくくなっているものが大半なので、
それらは同じ抗ヒスタミン剤であっても
第1世代のジフェンヒドラミンのように睡眠改善効果はありません。

 

また、ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬であり、抗コリン作用もあるるため
抗コリン作用による副作用が特に問題となります。
医療用ジフェンヒドラミンでは
以下のものが禁忌になっています。

 

医療用ジフェンヒドラミン禁忌
・閉塞隅角緑内障の患者
・前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者
市販薬でも
「緑内障、前立腺肥大(排尿困難)の方は相談すること」との
注意喚起があります。
また抗コリン作用によるものとして、
・口渇・頭痛・便秘・吐き気など
様々な副作用が知られています。

 

さらに、抗ヒスタミン薬は様々な市販薬に配合されています。
特に風邪薬や鼻炎薬にはほとんどのものに配合されているため
併用に特に注意が必要です。
成分名はジフェンヒドラミンとは限らず、
とても多くの成分が抗ヒスタミン作用を持っています。

 

 

以下の医薬品と併用はできません。

他の催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を 含有する内服薬等(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬等)

 

風邪薬や鼻炎薬は抗ヒスタミン薬でイメージしやすいですね。

 

Noriko
乗り物酔いも?
と思われるかもしれませんが、
市販の乗り物酔い薬は抗ヒスタミンが主成分のものが多いです。今回取りあげた
ジフェンヒドラミンが主成分の製品もあります。

 

ジフェンヒドラミン配合
(例外の睡眠改善薬)

 

ジフェンヒドラミンを主成分とする睡眠改善薬は
どれも1回50mgで成分は全く同じとお伝えしましたが、

例外のものもあります。

それは商品名:『ウット』

 

こちらの成分はこのようになっています。

・ジフェンヒドラミン:25mg
・ブロモバレリル尿素:250mg
・アリルイソプロピルアセチル尿素:150mg
※ブロモバレリル尿素はブロムワレリル尿素とも言われ同じ成分です
こちらの商品は特に注意が必要です
ジフェンヒドラミンは用量が少ないと思われるかもしれませんが、

問題なのは『その他2つ』の成分です。

 

・ブロモバレリル尿素(ブロムワレリル尿素):250mg
・アリルイソプロピルアセチル尿素:150mg
市販薬の経験がない薬剤師の方は
「何これ?」
と思われるかもしれませんね。
医療用ではほぼ使われない成分になります。

ですが、市販の医薬品にはいろいろな製品に配合されています。

Noriko
これはリラックス効果のあるお薬ですが、
実は依存性があることで昔から問題となっています。

 

 

医療用でベンゾジアゼピン系に依存性があるということでよく問題になりますが、
不思議なことにOTCの成分はあまり取り上げられません。
医療現場では医師が処方し、薬剤師が調剤するため
適正利用により依存症などの危険は少ないかと思いますが、

市販薬はそれが難しいです。

 

 

Noriko
せめて1類の医薬品であればいいのですが、
不思議なことにこちらは2類になります。
なので、気軽に購入できてしまいます。

 

 

特にブロモバレリル尿素(ブロムワレリル尿素)は
実は厚労省が公表している
汎用性の恐れのある医薬品としても指定されています。

 

濫用等のおそれのある医薬品の成分

1 コデイン(鎮咳去痰薬)
2 ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬)
3 ジヒドロコデインセキサノール(鎮咳去痰薬)
4 メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬・液剤)
5 ブロムワレリル尿素
6 エフェドリン
7 プソイドエフェドリン

厚生労働省(濫用等のおそれのある医薬品)

コデイン系についてはよく知られていますが
ブロムワレリル尿素はあまり知られていません。

 

ブロモバレリル尿素(ブロムワレリル尿素)が配合されているもので
代表的な市販薬は
「ナロンシリーズ」
頭痛などでよく飲まれる方がいるかもしれませんが、
まれに依存症を起こしてしまうことが知られています。
また過量服用が問題になることもあります。
市販薬は医療用より安心だから問題ないと思われている方もいて
処方薬よりも気軽に服用してしまう方がいるんですね。

 

ナロン・ナロンエースの他にも配合されているものがたくさんありますが、
特にナロンシリーズが問題になるのはその配合量の多さです。
他の配合薬よりも1.5〜2倍の量配合されています。
ちなみに、この成分は
アメリカでは販売が禁止されている成分になります。

 

またもう一つの成分であるアリルイソプロピルアセチル尿素
ブロモバレリル尿素と似た構造を持っており、
依存症の危険があるとされ、
さらに薬疹の報告が多い成分としても知られています
アリルイソプロピルアセチル尿素は
ブロモバレリル尿素よりもかなり多くの鎮痛剤に配合されていますが
『ウット』はそれら両方の成分を配合しているため、たびたび問題視されるお薬です。

 

問題なのは
このことを知らない薬剤師も結構いるということだと思います。 
それもそのはず、
調剤の世界に入ってしまうと、
これらの成分はほとんど見ることはありません。
そのため、この成分に関して学ぶことがほとんどなく、
一般用医薬品にしか配合されていない成分は
安全性が高いと思ってしまう薬剤師もいます。 

ぜひ、この機会に詳しく学んでみてはいかがでしょうか?

 

 

Noriko
今回は頭痛薬についてではないのであまり触れませんが、
痛みがあるとイライラしてしまうためこういった成分が効果があるというのはわかります。
でも、これらの成分が配合されていると
頭痛を治めるのと同時に眠気の原因になりますし、
なんと言っても依存の危険があるので
個人的には配合されていないものをお勧めします。

 

あまり刺激的なことは書くつもりはないので詳しくは書きませんが、
ちょっと調べると色々出てきますよ。

 

 

市販ジフェンヒドラミンまとめ

 

・本来副作用であったはずの眠気を利用した睡眠改善薬である

・すでに不眠症の治療をしている方には効果が期待できないので、治療をしていない軽症の方が試すようなお薬

・用法用量が異なると、市販でもアレルギーの緩和や、乗り物酔い予防としても使われる

・継続して服用せず、補助的に使うようにする

(継続が必要な場合は受診を!)

・抗コリン作用があるため特に注意が必要な人がいる

(緑内障、前立腺肥大症など)

・副作用には眠気、口渇、便秘などが多い


・市販のジフェンヒドラミン配合睡眠改善薬は、一部を除き全て用量は同じなので効果もほぼ同じ

(例外:ウットには特に注意しなければいけない)

 

 

サクッとまとめるとこんな感じです。
参考にしてみてください。

 

 

Noriko
というわけで、今回は市販で売られている睡眠改善剤の中でも
主要なジフェンヒドラミンについてまとめてみました。
参考になれば幸いです。
次回は、生薬や漢方などを含んだ
睡眠改善薬についてまとめてみたいと思います。

 

 

 

日々の学びや、様々な学習の工夫をインスタでほぼ毎日アップしています。
動画コンテンツなどもありますので、よかったらフォローしてくださいね!

インスタグラムはこちら

薬剤師としてお薬の投稿と共に
医療通訳士として、医療英語の発信もしています。

英語に興味がある方はぜひチェックしてみてください😊

薬剤師又は登録販売者として、
薬局で使える英語, ドラッグストアーで使える英語
集中的に学びたい方には
こちらの記事がおすすめです⬇︎
薬剤師の本当に効果的な英語学習法

 

YouTubeでは医療英語、薬のゴロ合わせなど
気軽に学べる動画をアップしています。

YouTubeはこちら

インスタなどでは伝えきれない
学びの学習、ぼやきはこちら⬇︎