
こんにちは。
薬剤師のNorikoです。
最近睡眠関係のお薬についてまとめていましたが、
市販薬についても触れてみようと思います。
(実は元々OTC出身です。)
医療用との違い
副作用などについても確認してみましょう
市販で買える睡眠改善薬の分類
まず、市販薬では睡眠薬とは言わず
『催眠鎮静薬』と分類されます。
軽度の不眠に対するお薬で
不眠症の治療薬ではないということに注意する必要があります。
医療用で主流となっているベンゾジアゼピン系
非ベンゾジアゼピン系
また、比較的新しいオレキシン系、
前回のホルモンど同じ成分のメラトニン
どの医薬品とも異なります。

作用も医療用に比べて穏やかなものになり、
安全性も比較的高いものになります。
とは言え注意事項についても確認していきましょう
今回は代表的な睡眠改善成分
『ジフェンヒドラミン』について
まとめてみたいと思います。
ジフェンヒドラミン
こちらは睡眠改善成分になります。
ジフェンヒドラミンについての説明はこちら
ジフェンヒドラミン
第一世代の抗ヒスタミン薬で、脳の視床下部にある興奮性ニューロンであるヒスタミンニューロンを抑制することにより催眠鎮静作用をもたらす
抗ヒスタミン薬の中でも特に催眠鎮静作用が強く、眠気の副作用を利用して一時的な不眠症状を改善する
今日のOTC薬(改訂版4版)
主作用として利用するというお薬ですね。
医療用のジフェンヒドラミン
製品名:レスタミンとして知られていますが、
レスタミンの効能効果はこちらです。
(外用もありますが、こちらは内用についてです。)
じん麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎)、春季カタルに伴うそう痒、枯草熱、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎
通常、成人1回3〜5錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩として30〜50mg)を1日2〜3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
日中も服用できるものとなっています。
その注意喚起はされています。
このお薬は医療用と同じ目的で(つまりアレルギー症状に対して)
市販で購入することもできます。
睡眠改善薬とは効能効果、用法用量が異なるので十分注意が必要ですね
市販薬にはどんなものがあるのか取り上げてみます。
市販で買える睡眠改善薬
ジフェンヒドラミン
ドリエル
ドリエルEX
この2つの違いはなんでしょうか?
ドリエルは錠剤で1回2錠なのに対し、
ドリエルEXはカプセルで1回1カプセルになります。
また、ドリエルEXは早く溶けるソフトカプセル製剤で、ラベンダーの香りとのことです。
EXの方がお値段がお高めになります。
データが見つからなかったのでわかりません。
個人的には、痛み止めのような即効性を期待するものではないので、
お高いカプセルにする必要はそれほどメリットはないかなと感じます。
(個人的な感想です)
アマゾン限定商品でこんなものもあります
スヤットミン
吸収が早いを売りにしています。
アンミナイト
こちらは液剤になります。
即効性を期待するなら、カプセルよりもありそうですがどうでしょう?
成分量もドリエルと全く同じです。
ちなみに気になるお味の方はアセロラ味
お値段で人気の商品がこちら
リポスミン
成分量はこちらも他のジフェンヒドラミン製剤と同じです。
見ていただければ分かる通り、
ドリエルに比べるとかなりお安い設定になっています。
もちろん成分は全く同じです。
メーカーが怪しい?
と思われるかもしれませんが、メーカーは皇漢堂製薬さんで、
OTCでもいろいろなお薬を出しているちゃんとした製薬会社さんです。
こちらの会社は、昔から大手の製薬会社に対抗して、同等の成分のものを低価格で提供しているというイメージですね。
ただ、販売している販売会社によっては
5個セット、10個セットなんて売り方もあり、
これはどうかなと思います。
このようなまとめ買いする購入方法はお勧めしません。
そこまで必要であれば、一度受診して欲しいと思います。
他にもいろいろな製薬会社からジフェンヒドラミン製剤は販売されていますが、
共通して言えることがあります。
『ジフェンヒドラミン』はどれも1回分が50mgなので効果に違いは期待できない!

ジフェンヒドラミンを主成分とする睡眠改善薬は
基本どれも同じ!と思って問題ないかと思います。
(例外もあるので後述します)
ジフェンヒドラミンの注意点
これは主作用でもありますね。
(眠気をもよおして事故を起こすことがあります。また、本剤の服用に より、翌日まで眠気が続いたり、だるさを感じる場合は、これらの症状 が消えるまで、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。)
医療用でアレルギーに対して処方される抗ヒスタミン薬は
現在ほとんどが第3世代になります。
それらは同じ抗ヒスタミン剤であっても
第1世代のジフェンヒドラミンのように睡眠改善効果はありません。
以下のものが禁忌になっています。
・閉塞隅角緑内障の患者
・前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者
注意喚起があります。
特に風邪薬や鼻炎薬にはほとんどのものに配合されているため
併用に特に注意が必要です。
とても多くの成分が抗ヒスタミン作用を持っています。
以下の医薬品と併用はできません。
他の催眠鎮静薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を 含有する内服薬等(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬等)

と思われるかもしれませんが、
市販の乗り物酔い薬は抗ヒスタミンが主成分のものが多いです。今回取りあげた
ジフェンヒドラミンが主成分の製品もあります。
ジフェンヒドラミン配合
(例外の睡眠改善薬)
ジフェンヒドラミンを主成分とする睡眠改善薬は
どれも1回50mgで成分は全く同じとお伝えしましたが、
例外のものもあります。
それは商品名:『ウット』
こちらの成分はこのようになっています。
・ブロモバレリル尿素:250mg
・アリルイソプロピルアセチル尿素:150mg
問題なのは『その他2つ』の成分です。
・アリルイソプロピルアセチル尿素:150mg
ですが、市販の医薬品にはいろいろな製品に配合されています。

実は依存性があることで昔から問題となっています。
適正利用により依存症などの危険は少ないかと思いますが、
市販薬はそれが難しいです。

不思議なことにこちらは2類になります。
なので、気軽に購入できてしまいます。
特にブロモバレリル尿素(ブロムワレリル尿素)は
実は厚労省が公表している
汎用性の恐れのある医薬品としても指定されています。
濫用等のおそれのある医薬品の成分
1 コデイン(鎮咳去痰薬)
2 ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬)
3 ジヒドロコデインセキサノール(鎮咳去痰薬)
4 メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬・液剤)
5 ブロムワレリル尿素
6 エフェドリン
7 プソイドエフェドリン
厚生労働省(濫用等のおそれのある医薬品)
コデイン系についてはよく知られていますが
ブロムワレリル尿素はあまり知られていません。
まれに依存症を起こしてしまうことが知られています。
処方薬よりも気軽に服用してしまう方がいるんですね。
アメリカでは販売が禁止されている成分になります。
ブロモバレリル尿素と似た構造を持っており、
ブロモバレリル尿素よりもかなり多くの鎮痛剤に配合されていますが
『ウット』はそれら両方の成分を配合しているため、たびたび問題視されるお薬です。
このことを知らない薬剤師も結構いるということだと思います。
これらの成分はほとんど見ることはありません。
安全性が高いと思ってしまう薬剤師もいます。
ぜひ、この機会に詳しく学んでみてはいかがでしょうか?

痛みがあるとイライラしてしまうためこういった成分が効果があるというのはわかります。
でも、これらの成分が配合されていると
頭痛を治めるのと同時に眠気の原因になりますし、
なんと言っても依存の危険があるので
個人的には配合されていないものをお勧めします。
ちょっと調べると色々出てきますよ。
市販ジフェンヒドラミンまとめ
・すでに不眠症の治療をしている方には効果が期待できないので、治療をしていない軽症の方が試すようなお薬
・用法用量が異なると、市販でもアレルギーの緩和や、乗り物酔い予防としても使われる
・継続して服用せず、補助的に使うようにする
(継続が必要な場合は受診を!)
・抗コリン作用があるため特に注意が必要な人がいる
(緑内障、前立腺肥大症など)
・副作用には眠気、口渇、便秘などが多い
・市販のジフェンヒドラミン配合睡眠改善薬は、一部を除き全て用量は同じなので効果もほぼ同じ
(例外:ウットには特に注意しなければいけない)
サクッとまとめるとこんな感じです。
参考にしてみてください。

主要なジフェンヒドラミンについてまとめてみました。
参考になれば幸いです。
睡眠改善薬についてまとめてみたいと思います。
薬剤師としてお薬の投稿と共に
医療通訳士として、医療英語の発信もしています。
英語に興味がある方はぜひチェックしてみてください😊