リンデロン外用薬の違い、使い分けのまとめ(A、V、VG、DP)

Noriko

こんにちは薬剤師Norikoです。

ステロイドのお薬として有名なリンデロンですが、
リンデロンはとても種類が多いのでややこしいことでも有名です。

特に新人の頃は混乱しやすいので
今回リンデロンの外用薬(坐剤、注射を除く)についてまとめます。

 

 

まずリンデロンには名前の後にアルファベットがついて
いくつかの種類に分かれます。

①リンデロン(アルファベットなし)

②リンデロンA

③リンデロンV

④リンデロンVG

⑤リンデロンDP

 

Noriko
大きく分けるとこの5種類になりますが
それぞれの特徴について見てみましょう。

 

リンデロン(アルファベットなし)

成分はベタメタゾンリン酸エステル
ステロイドの強さは一番弱いweak(Ⅴ群)になります。

外用は剤形2種類(今回は坐剤は除きます。)

・リンデロン点眼液 0.01%
・リンデロン 点眼・点耳・点鼻液 0.1%

これらの違いは濃度になりますが、
0.01%の適応部位は目だけです。
名前も点眼液となっていますね。

 

Noriko
なぜ、0.01%は目だけに適応があるのでしょうか?
それは、この製品が作られた経緯を知ると納得です。

 

実はリンデロンは現在の
☑︎リンデロン点眼液0.01%と
☑︎リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の製品ができるまでは

リンデロン液0.1%のみでした。
これは現在のリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%の旧品になります。

この製品で問題になったのは0.1%の高濃度では眼圧を上げてしまうという副作用でした。

 

0.1%は連用により眼圧亢進が現れることがあるが、0.01%は眼科亢進は少ない

というわけで、目により安全に使えるように濃度の低い0.01%である
リンデロン点眼液 0.01%ができました。

それにより、今までの濃度の高いリンデロン液0.1%は⇨リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%
という名前に変更されました。

 

Noriko
というわけで、
0.01%は鼻、耳に使えなくはないかもしれませんが、
現在点眼用として、目に使用するように定義されています。

リンデロン点眼液0.01%を使用が検討されるのは次のような場合です。

  1.  高濃度点眼剤(0.1%)で眼圧が上昇し,しかも副腎皮質ホルモン点眼剤を中止することができない場合
  2.  寛解時又は再燃防止に使用する場合
  3.  軽症の場合

 

Noriko
目に使用するときは、より安全性の高い0.01%で効果を確認し、効果不十分なら0.1%での使用も検討したり、
または初めから0.1%を使用するなら、できるだけ短期使用とするという感じになりますね。

 

ちなみに市販薬にはステロイド入りの目薬はありません。
Ⅴ群に分類される弱い塗り薬はあります。

 

 

リンデロンA

こちらはリンデロンと同じ成分ベタメタゾンリン酸エステルに

抗菌薬(抗生物質)であるフラジオマイシンをプラスしたお薬です。

剤形2種類:軟膏・液

・リンデロンA軟膏(眼・耳科用)
・リンデロンA液(点眼・点鼻用)

こちらは剤形が異なりますが、用法にも違いがあります。

特にリンデロンA液は注意すべきことが多いです。

 

重要!
・リンデロンA液は耳に使えない
・リンデロンA液は冷所で保管する

ところで、なぜA液は点耳として使えないのでしょう?

点眼・点鼻用リンデロンA液の旧販売名は、「眼・耳科用リンデロンA液」
硫酸フラジオマイシンは、鼓膜を通過して内耳に浸透すると非可逆性の難聴を発現することが知られており、「眼・耳科用リンデロンA液」でも、鼓膜穿孔のある中耳炎患者における難聴 (内耳障害)の発現が報告されため、
2004年10月29日に、「効能・効 果」及び「用法・用量」から、耳科領域の適応を削除するとともに販売名変更の代替新規申請を行い、2005年2 月10日に承認された

 

Noriko
つまり、フラジオマイシンにより難聴を起こすことがあるためですが、
軟膏は内耳に浸透すること考えづらいため、浸透する可能性のある液剤のみ耳への使用が削除されたということですね。
またリンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%はフラジオマイシンが配合されていないため、
液剤でも耳に使用できます。

 

ちなみに、リンデロンA軟膏は眼・耳科用とありますが、鼻にも使用できます

 

リンデロンV

こちらの成分はベタメタゾン吉草酸エステル
ステロイドの強さは中間のStrong(Ⅲ群)になります。

剤形3種:軟膏・クリーム・ローション

このローションは上記2つと異なり、目には使用できません。
軟膏も眼軟膏ではないため、目の中に使用することはできません。

強さがちょうど中間であり、剤形も3種類揃っているため
さまざまな部位に使用しやすいですね。

またOTCにも同じ成分の医薬品があります。
このⅢ群は市販の中では一番強いランクになるので、
市販で強めのお薬で一気に治したいという方にはお勧めできます。

市販で買えるリンデロンVと同じ成分のお薬

⬆︎リンデロンVsクリーム (10g) ¥1827

今現在はまだローションの市販薬はありません。

 

主婦湿疹など
ひどい手荒れなどにも効果が期待できます。
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リンデロンVG

こちらの成分はリンデロンVのベタメタゾン吉草酸エステルに
抗菌薬(抗生物質)であるゲンタマイシンをプラスしたお薬です。

剤形はリンデロンVと同じ3種類:軟膏・クリーム・ローション

 

Noriko
VGのGはゲンタマイシンのGとして覚えやすいですね!
強さはVと同じでそこに抗菌薬を足しただけなのでわかりやすい

 

ステロイドは炎症を抑える作用が強いのですが、
免疫を抑制してしまうため、化膿などの心配がある場合は
悪化させてしまうことがあります。

それを防ぐために、抗菌薬(抗生物質)を配合したお薬になります。

現在こちらと同じ市販薬はありません。

ただ、ステロイド+抗菌薬の組み合わせの市販薬はあります。

 

⬆︎べトネベートN軟膏AS(10g) ¥1325

●ベタメタゾン吉草酸エステル :1.2mg
●フラジオマイシン硫酸塩: 3.5mg

こちらは、抗菌薬(抗生物質)はゲンタマイシンではなく、フラジオマイシンになります。
どちらもアミノグリコシド系の抗菌薬になります。

 

リンデロン-DP

こちらの成分はベタメタゾンジプロピオン酸エステル
ステロイドの強さは2番目に強いのVery Strong(2
群)になります。

ちなみにDPはジプロピオン酸:Dipropionate
からきています。

日本語ではなぜかdiが全てジと発音されてしまっているため
こういう時にうまく繋がらなくて残念ですね(⌒-⌒; )

剤形3種:軟膏・クリーム・ゾル

 

Noriko
あれ?ローションじゃないの?
と思われるかもしれませんが、DPはゾル剤になります。
ではゾル剤とはどんな特徴があるのでしょうか?

 

ゾル剤の特徴
無色透明の粘稠な液で、ローション剤よりも患部から流れにくい特徴がある。

 

ちなみに、後発品にはローションがあります。

デルモゾールDPローション(2022年現在)
より伸びの良いものが良いという場合はローションも選択肢になりますね。

 

DPはⅡ群ということもあり
ステロイドの中では強い方になります。

そのため基本的には手足や体幹といった部分に使用し、顔には使いません。

またⅡ以上の強さのものは市販では売られていません。

 

Noriko
首から上や、陰部など吸収の高い部位に使うときは
弱いステロイドでも十分効果が期待できるので、
吸収の良さによって使い分けることが重要ですね。

 

というわけで

図でまとめるとこんな感じです⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎

 

Noriko
こうやってみると
V、VG、DPは使い方の違いがわかりやすいですが、
リンデロン(アルファベットなし)とリンデロンAがとても特徴的なので、よく理解しておかないといけないなと感じます。
こんな感じで、
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参考:
リンデロン点眼液0.01%インタビューフォーム

リンデロン点眼・点鼻・点耳液0.1%インタビューフォーム
リンデロンA軟膏、A液インタビューフォーム
リンデロンよくあるお問い合わせ⬇︎
https://www.shionogi.co.jp/med/products/drug_ra/g0l2sg00000049fx-att/RDE-WEB-0001-V03.pdf