ピリン系の薬って一体どれ?
市販薬は?医療用は?医療従事者ですら勘違いしていることがあるピリン系のお薬!まとめて疑問に答えます。

こんにちは薬剤師Norikoです。
先日、「ピリン系以外の痛み止めがいいんですが」
という相談を受けまして、
そういえば、市販薬はわかりやすいけど
医療用はわかりづらいな〜ということで
医療用と市販まとめてピリン系についてまとめます!
ピリン系って何?
通称ピリン系と言われますが
正確には『ピラゾロン系』です。
ピラゾロン骨格を持つ解熱鎮痛薬で
正確にはNSAIDsではないですがNSAIDsに分類されることが多い成分です。
現在日本で使用されているのは2成分です
●スルピリン(注射剤)

スルピリンは注射剤のみなので、
一般的に使われているものはイソプロピルアンチピリンのみ
と考えて良さそうですね。
誤解の多いアスピリン
これはとても多い誤解なのですが、
アスピリンは”ピリン”がついているためピリン系と勘違いしている方がとても多いです。

医療系の方でもこれがピリン系と思っている方がたまにいらっしゃいます。
アスピリンは系統で言うとサリチル酸系です。
またよく使われるロキソプロフェンやイブプロフェンは
プロピオン酸系に分類されます。
他にもインドール酢酸系、オキシカム系など色々な分類がありますが
多くはまとめてNSAIDsと呼ばれています。
ピリン系はなぜ特別扱いされているの?

市販ではピリン系か非ピリン系ぐらいしか記載がありませんね。
なぜピリン系だけ特別扱いされているのでしょうか?
1980年代に、ピリン系薬剤による顆粒球減少症、消化管出血、皮膚障害などの副作用が問題になったことから、
当時の厚生省(現厚生労働省)が安全性の見直しを行い、
ピリン系でアレルギーなどを起こした方にもわかりやすいように市販薬にはピリン系or非ピリン系の記載がされるようになったようです。

どの薬でも起き得ることなので、
特別ピリン系を避ける必要はないと思いますがピリン系に敏感な方もいらっしゃるので注意したいですね。
ピリン系は避けた方がいい?

先ほどもお伝えした通り、
ピリン系だから副作用が起きやすいということではなく、
ピリン系が合わない方には使用しない方がいいお薬になります。
非ピリン系でもその成分に合わない方には薬疹などのアレルギーは出るので、もし出たことがある方は今後その成分を避ける必要がありますね。

と思われるかもしれませんが、
実は他の鎮痛剤では効果がないけど
ピリン系のイソプロピルアンチピリンならよく効く!
という方が実際にいらっしゃいます。
だから、そういう方のためにもピリン系のお薬は必要です。
正確にはイソプロピルアンチピリンの単剤はないので
その他の配合成分との合剤が効いているということになりますね。

単独で使用するより他の解熱鎮痛剤との配合で、
より効果を発揮すると言われています。
医療用もイソプロピルアンチピリンの単剤は存在しません。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどでは効かないけど
特にアレルギーや副作用がなければ選択肢の一つとして重要なお薬になりますね。
セデスGはなぜSG配合顆粒に変更された?
なぜ成分が変更されたのでしょうか?
“フェナセチン”が使われていました。
にて注意喚起が出されました。
セデスGやサリドンがありましたがその後フェナセチンは使われなくなり
SG配合顆粒の成分
成分を確認してみましょう
●イソプロピルアンチピリン
(ピリン系成分)
ピリン系の切れ味のよい解熱・鎮痛薬
●アセトアミノフェン
副作用の少ないおだやかな作用の解熱・鎮痛薬
●アリルイソプロピルアセチル尿素
解熱鎮痛成分の効果増強作用を持つ鎮静成分
●カフェイン
中枢興奮作用 や脳血管収縮作用を持つ
眠気の原因にもなることから、医師によっては使いづらいと思われている方も多いようです。
これは眠気予防のために配合されているわけではなく
頭痛に対して相乗効果が期待できるため配合されています。

このお薬は使い方次第で良いお薬です。
他の鎮痛剤では効果が見られないけれど
SG配合顆粒なら効果が実感できるという方が一定数います。
そういう方は、頓服使用で、必要以上に使用しない!
これを守って使用すれば心配する必要はありません。
どのお薬にも言えることですが、使いすぎないように注意して服用しましょう。
市販薬にアリルイソプロピルアセチル尿素が多いのはなぜ?
使い方を間違えると中毒性などが問題になることがあるのに
なぜ多くの市販薬に配合されているのでしょう?
それは
より効果を実感してもらいリピーターになってほしいから
だと思っています(個人の見解です)

効くか効かないかが重要視されることが多いです。
もし、どんなに安全性が高い薬でも
服用したときに効果の実感がないと、
「この薬は効かない!」と思われ2度と買ってもらえません。
一方、初めて使用した時から
すぐに効果を実感してもらえたら、
ずっとその薬を買い続けてもらうことができます。

一度気に入った薬はずっと買い続ける人が多いということです。
新しい薬が出ても、変わらず同じ薬を買い続ける方が多いです
1回目からよく効く薬じゃないと売れないんですね・・・
配合成分の数も医療で使われるよりもとても多く使用されています
逆に副作用につながることもあります。即効性だけでなく、メリットデメリット両方を考えてほしいと思います。
というわけで、薬を買うときは薬剤師や登録販売者に相談しましょう!
SG配合顆粒と同じ市販薬はあるの?
あります!
同じシオノギ製薬から発売されている
セデス・ハイシリーズはどれもほぼSG配合顆粒と同じ成分です。
”ほぼ同じ”どいうのはどういうこと?
セデス・ハイシリーズには3つの製品があります。
その中でセデス・ハイ プロテクト以外は主成分は全く同じです。
違いは剤形のみになります。
SG配合顆粒と全く同じ市販薬
こちらは医療用の顆粒と同じ顆粒剤になります。
それぞれの成分の配合量も全く同じで、剤形も同じ顆粒剤です。
病院と同じ効果を期待するならこちらが一番近い製品になります。
SG配合顆粒と全くで粉が苦手な方には錠剤
こちらも全く同じ成分、配合量ですが
剤形は錠剤になります。
1回量は2錠になりますが、小粒で飲みやすいため
粉薬が苦手な方はこちらがおすすめです。
痛み止めによる胃に負担が気になる方にはこれ
こちらはセデス・ハイGと同じ顆粒剤ですが、
胃酸中和剤が配合されています。
痛み止めを飲むとなんか胃の調子が悪くなる
そんな方にはこちらがおすすめですが
食後に服用するならセデス・ハイGでも問題ないと思います。
サリドンシリーズ
イソプロピルアンチピリンを配合した市販薬で
セデス・ハイと並んで人気なのがサリドンシリーズです。
サリドンは医療用はありませんが
イソプロピルアンチピリン配合剤が市販で2種類あります。
こちらはイブプロフェン配合のため
アセトアミノフェン配合のセデスよりもより痛みに効果が期待できます。
また、依存や、眠気の出やすいアリルイソプロピルアセチル尿素を配合していません。
さらに1回1錠で良いのもポイントですね。

こちらの方が使いやすいなと感じます
こちらは昔からあるサリドンで
上記がイブプロフェン配合に対して、こちらはエテンザミド配合です。
どちらの方が効くか?と言われると難しいですが、
一般的にはイブプロフェンの方が効果が高いと言われています。
エテンザミドはACE処方で知られ
配合剤にすることで効果が期待できる成分である一方
イブプロフェンは単剤でも鎮痛&消炎効果が期待できます。
セデスシリーズもサリドンシリーズも
全てにイソプロピルアンチピリンが配合されているわけではありません。
配合されているものは箱をよく見ると
「ピリン系」の文字が書かれていますのでそこでも確認ができます。
他にも市販薬にはピリン系がたくさんあります。
成分は全てイソプロピルアンチピリンですが、
総合の風邪薬にも配合されています。
2022年度のピリン系市販薬はこんな感じです。
医療用のピリン系
まずは先ほど出てきたSG配合顆粒ですが、
もう一つ医療用ではピリン系があります。
それは
クリアミン配合錠AとSです。
クリアミンの特徴
●適応症: 血管性頭痛、片頭痛、緊張性頭痛
●成分:エルゴタミン酒石酸塩
無水カフェイン
イソプロピルアンチピリン
というわけで、頭痛薬になりますね。
エルゴタミンが市販では販売できないので医療用のみになります。
片頭痛発作の薬といえば今ではトリプタン系が主流ですが、
トリプタンが出てくる前によく使われていたお薬になります。
クリアミンの注意事項をおおまかにまとめました
●外層と内核からなる有核錠で粉砕不可
●禁忌疾患、禁忌薬が多い
(マクロライド系抗菌薬,アゾール系抗真菌薬 他)
●子宮収縮誘発作用があるため妊婦禁忌
●トリプタン系と併用しない (24時間以上あける必要がある)
●市販薬はない
●1週間で服用上限がある
服用タイミングの違いがあります。
⇨前兆が終わったらすぐに服用する
⇨前兆が出たらすぐ服用

服用タイミングをしっかり理解することが重要です。
ピリン系のまとめ
内服できるピリン系のお薬はどちらも同じです。
ピリン系かどうかは
基本的に1成分に気を付けるのがポイントですね!
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